消えた記憶 5 ページ31
天 「楽。」
楽 「どうした？病院の帰りか？」
天 「そう。また話せなかった。」
楽 「まっ、検査とか色々あるからな。記憶の方は？」
天 「戻ってないって。それに、病気の方も酷いらしくて、、、」
楽 「、、、そうか。」
楽は、急に僕の頭を撫でた。
天 「なっ、何、、、」
楽 「元気出せよ。まずは、お前が笑ってないとな。」
天 「、、、分かってるよ。」
あれから二週間。
僕が久し振りにAの病室に行くと百さんがいた。
百 「天。一人？」
天 「はい。百さんも一人ですか？」
百 「うん。千は、仕事。何か、顔見たくなっちゃって。天も？」
天 「ええ。久し振りに時間がとれて。」
百 「そっか。」
Aは、点滴をしていて眠っていた。
百 「さっきまで検査だったみたい。最近は、体力も落ちちゃって検査でも疲れが出ちゃうらしいよ。」
天 「そうですか、、、」
百 「記憶の方も、、、何かきっかけがあれば戻るかな、、、」
天 「きっかけ、、、ですか？」
百 「うん。まぁ、可能性の話。」
天 「、、、これ。」
僕は、スマホであることを検索した。
百 「、、、あっ、天たちのコンサート？」
天 「百さんたちや陸たちも来てくれると聞きました。何か、変わるかも。」
百 「招待するの？」
天 「、、、記憶が戻らなくても、久し振りに歌でも聞けば気が晴れるかもしれませんし。」
百 「そうだね。琥珀たちも呼ぼうか。五人で聞いてもらおう。」
天 「ええ。」
それから二週間後、僕らのコンサートがあった。
客席から離れた特別席を見ると琥珀君たちがいた。
その真ん中には、車椅子に座ったAがいた。
そして陸たちや百さんたちがステージに上がってきてくれて皆で歌った。
そして最後にDreamの曲を皆で歌った。
お客さんたちは、少し、戸惑っていたけど、すぐに笑顔になって声援を送ってくれた。
僕がAたちの方を見るとAは、居なくなっていた。
琥珀君たちも慌てた様子で席から離れていた。
コンサートが終わり、僕らはAが熱を出して帰ってしまったことを聞いた。
龍之介 「、、、久し振りに外に出たんだし疲れちゃったんだよ。」
楽 「、、、あの曲まではAは、ちゃんと、いた。だから、あの曲はちゃんとAに届いたはずだ。」
天 「、、、うん。ありがとう。」
僕らが片付けをして病院に向かおうとすると百さんたちや陸たちがいた。
百 「よし。行きますか。」
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作者名：Mina | 作成日時：2020年12月31日 2時
