検索窓
今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:9,589 hit

【7】Aesop side ページ9

side Aesop







こんなに高揚した気持ちはいつぶりだろうか。








彼女の不安そうな顔、怯えている顔、全て僕がさせていると考えると、この高揚感は収まらない。








もともと彼女は自己主張が少なく控えめな存在だった。








その時からすでに彼女のことばかり考えていた。







僕を受け入れ理解してくれようとする姿勢。










どこか僕と似たような、物静かで、臆病で、僕にとってかけがえのない存在。









だけどいつからだろうか。









あの物静かな彼女はいつの間にか見えなくなり、誰とでもよく話す陽気な彼女になっていた。







隣には占い師のイライクラークがいつも側にいる。この人は僕の思考を読み取れているのか、彼女を僕から遠ざけようとしているのだろう。四六時中彼女の横にへばりついて笑っている占い師が忌々しく思えてくる。





今更彼女の魅力に気づいたとでも?僕なんてずっと昔から彼女に目をつけていたんだから。





陽気な彼女になっても僕が彼女を想う気持ちは日に日に増していった。






そう簡単には逃がさない。






部屋に飾っている彼女の蘇生人形にマスクをずらして口付ける。





貴方の瞳に映るのも、貴方が名前を呼ぶのも僕だけでいい。貴方が欲しがるものは全て僕だけでいい。いっそ僕だけしか求められないような体にしてしまおうか。





今まで想い続けてきたこの気持ちを、この想いを、







僕の大切な棺と美しく儚い黄色いバラを添えて貴方に捧げよう。










「愛しいAさん、貴方を納棺すればどんなに幸せなことでしょう」







.








そう言った納棺師の顔は、あまりにも妖艶で恐ろしい笑みだった。

【8】you side→←【6】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
99人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こなつ(プロフ) - すごく面白いです!ノートンも推してるので絡ませてくれて嬉しいです…(>_<)❤️更新楽しみにしてます! (2022年8月19日 17時) (レス) @page14 id: 69f5122ea8 (このIDを非表示/違反報告)
茶碗(プロフ) - 社畜那須さん» ありがとうございます( ; ; ) (2022年3月8日 1時) (レス) @page14 id: ef931e52a4 (このIDを非表示/違反報告)
社畜那須 - めっちゃ面白いです!! (2022年1月18日 5時) (レス) @page13 id: 29eaa28498 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茶碗 | 作成日時:2021年11月25日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。