潔の兄はエゴいのか

気持ち ページ10

世一side


俺のにいちゃんはかっこよくて可愛い。


俺が「世界で一番好きなサッカー選手はと聞かれたらノア様」と答えるだろうが、「尊敬している人は誰か」と聞かれたら俺は兄ちゃんと答えるだろう。


それぐらい大好きで大好きでたまらないものだった。


そんな兄ちゃんと喧嘩したことがあった。


俺はにいちゃんにサッカーをやって欲しかったけど、にいちゃんはバレーボールをやりたかったらしくて、喧嘩になった。


らしい。


らしい、と言うのは俺がはっきり覚えてるのはそこではなくにいちゃんが俺を「嫌い」と言ったことだった。


極めつけには「もう知らない」と言われてしまった。
それからにいちゃんに嫌われるのが最も怖いことになった。


お化けなんかよりにいちゃんに嫌われる方がもっともっと怖いことだと知った。


俺がにいちゃんのことが好きだと気づいたのは
本当に何気ない友達との好きな人の話だった。


「俺ゆみちゃん好きなんだけど、お前は？？」


「え、俺まゆがいい。てか世一、お前の好きな人の話とか全く聞いたことないんだけど、だれ？」


「えーと、、、」


この時言葉に詰まった。俺が好きなのはみゆでもまゆでもなかったから。というかそういうことにあまり興味がなかった。


俺が好きなのは、もっとこう明るい笑顔で、俺が寝れないと言ったら一緒に寝てくれる、小さい頃から一緒にいた、バレーボールをやってる子だ。



、、、、、、兄ちゃんじゃね、？


「おい世一顔赤いぞ」


「大丈夫か〜？」


気づいてしまった。俺の好きな人は兄ちゃんだということに。


どうせこの気持ちを伝えても


「？おれも好きだぞ〜。」


ぐらいしか返してくれないだろう。


それからずっと俺は兄への気持ちを隠している。


好きなんだ、本当にずっと一緒にいてくれ。


恋人同士がいいけどじゃなくてもいいから、一緒にいてくれ。にいちゃん。

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