6*sideJ ページ21
.
.
人のいない裏庭のベンチに降ろして、きっと探しているであろう雅紀と父さんに一言だけ連絡をいれてから、隣に座った。
今だに身体は少し震えてて、止められないのか止まらないのか、涙も出ている。
…相当怖かったんだな。
「苦しくなるから泣き止めって…。」
背中に手をまわして撫でてたけど、あまり落ち着かない。
「潤兄…っ、ギュッて、して…っ？」
顔をあげ、潤んだ目でこっちを見た。
そのとき初めてちゃんと女装した翔の顔を見たもんだから、可愛すぎて意識が別の方に行きそうになったのを、必死に止めた。
「おいで…。潤兄がいるから大丈夫だよ…。」
ふわっと抱きしめて、小さい子をあやすように頭を撫でる。
不安定になると、甘えん坊になって、身内である俺か父さんがこうしないと落ち着かないときがある。
しばらくすると、今まで収まらなかったのが嘘みたいに、落ち着いてきた。
「「翔(ちゃん)！！」」
それとほぼ同時に、雅紀と父さんが走ってきた。
翔はいかにも泣いたあとですって顔で見あげた。
「翔ちゃん、大丈夫！？ごめんね、意外と遠くて早く戻れなかった…。」
「どっちも大丈夫だよ、ありがと…。」
父さんは、一応、といっておでこに手を当てたり、脈をみたりした。
「大丈夫そうだね…。翔、まだ文化祭やりたい？もし無理だったら、父さんと一緒に今から帰ろう…。」
きっと、帰るって言うだろうなって思った。
「いや…、残る。雅紀と回ってるときは楽しかったし、今まで裏方しかやってこなかったから、この格好はイヤだけど最後までやりたい…。」
父さんも驚いたのか、一瞬ビックリした顔をして、すぐに笑顔に戻った。
「…じゃあ、今から四人でまわろっか。そっちの方が安全だし楽しいから^^」
文化祭前はなんで来るの？とかいってたのに、うんっと笑顔で頷いた。
「もう時間なくなっちゃうから、行こ！まだ食べたいのあるし！」
さっきまでの涙はなんだったのかって思わせるほど急に元気になって笑顔で言った。
…やばい。マジで可愛い。文化祭を期に彼女そろそろ作りたいとか思ってたけど、やっぱいらね。終わる前に、フォルダに納めなきゃ。
「「「翔(ちゃん)！その前に写真撮らせて！」」」
みんな思ってることは同じで、声が被った。
無理！といわれて、結局写真を撮らせて貰ったときは、3人とも財布の中身が寂しくなったときだった。
*END*
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「病系」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(`・З・´)(プロフ) - 遅くなったけど完結おめでとうございますー! (2016年11月3日 21時) (
レス) id: 3ccc0bb564 (このIDを非表示/違反報告)
Merry(プロフ) - り〜ちゃんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！落ち着いたら、書くところを新しく設けてから書こうと思います！２つも見てくださってありがとうございます！これからもよろしくお願いします(*^-^*) (2016年10月15日 21時) (レス) id: 753f5a7036 (このIDを非表示/違反報告)
り〜ちゃん(プロフ) - お疲れさまでした！この作品が大好きだったので終わってしまうのは寂しいです泣 落ち着いたらまた書いてくださいませんか？ 実は｢山々の日常｣も大好きので、これからも頑張って下さい！応援しています！ (2016年10月15日 0時) (レス) id: 8eaabea45d (このIDを非表示/違反報告)
Merry(プロフ) - 明悟翔さん» ありがとー！ (2016年10月14日 21時) (レス) id: 753f5a7036 (このIDを非表示/違反報告)
明悟翔(プロフ) - Merryさん» 完結おめでとう！ (2016年10月14日 21時) (レス) id: f03950a839 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Merry | 作成日時：2016年9月21日 22時
