You and me... vol.2

嵐を呼ぶ男 ページ35

「あ。いつの間にか雨止んでるし・・・」


ｼﾞｮﾝｳﾝ。濡れずに帰れてるといいけど・・・。
私は少しだけ開いていたカーテンをシャっと閉めた。
それにしても、ほんのさっきまで音を立てて降っていた気がするのに。


そう。
ほんのついさっき。
ｼﾞｮﾝｳﾝと口唇が触れ合って―私たちの時が止まったような瞬間。


だけど遠くで。窓の外で。
激しく雨が打ちつける音だけはやけに大きく響いていて。
だからホントに少し前までは降っていた・・・はず。
色んなことが〜私の思い違いじゃなければ。


飲みかけの、すっかりぬるくなってしまったコーヒーをごくっと飲む。
自分のカップと、ｼﾞｮﾝｳﾝが使っていたカップを片付けようとして。
彼の口をつけたあとが残るそのカップを見て・・・私はカーーっと顔が熱くなった。


「なにバカみたいに思い出してんの？！何度も何度も何度も！！」


ホンットにバカじゃないの、私！
恥ずかしさのあまり、思わず大きな声をあげてしまった。
キッチンでがしゃがしゃと食器を洗う。


だけど。
ｼﾞｮﾝｳﾝてば・・・帰るときには、だいぶ元気出た様子だったよね？
今なら歌える気がするって。そう言ってたもの。


一応―ｼﾞｮﾝｳﾝの助けになることができたのかな、私。
いつもｼﾞｮﾝｳﾝには甘えちゃうから・・・たまには私だって役に立ちたいと思う。


って！
立ち直ってくれたのはいいけど、帰り際にこんな爆弾落とすような真似されても困るんだけど！


「だって・・・キス。したよ」


ｼﾞｮﾝｳﾝは確かにお兄さんみたいな人で―私も妹みたいになっちゃうけど。
だけど普通。
お兄さんと妹は・・・キスなんてしないよ・・・。
ホントに―どういうつもりだったの？


何事もなく。特に気にしてる風でもなく帰って行ってしまったｼﾞｮﾝｳﾝを思い出して。
今度はチクリと胸が痛む。


ああ、ダメだ。
ヨガヨガっ！こんな風に落ち着かない気分のときはヨガやろう。
多分集中できないのは間違いないけど。
それでもヨガやろう！


雨雲とともにやってきたｼﾞｮﾝｳﾝは、その雲を晴らして帰ったかもしれないけど―
私の中にはしっかり水溜りを残していってくれたんだ。

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