You and me... vol.2

ジレンマ-YS ページ23

YS「くそっ・・・」


俺は小さく舌打ちをした。
新しいアルバムのリパケ盤の追加曲。
その中のひとつに、どうしても思い通りにならないバラードがあった。


サンプリングの音源を何度聞いても、納得がいかない。
俺のソロパートも他の歌より多いっていうのに。
聞けば聞くほど苛立ちが増す一方で―
喉を掻きむしりたい気分だ。


もう一度録り直させてもらうか・・・？
いや、今歌っても満足いくように歌える自信もない。
考えもまとまらない、な。


LT「ｲｪｿﾝ！」

YS「！！」


完全に自分の世界に入り込んでしまっていた俺を、いつの間にか来ていたﾄｩｷﾞﾋｮﾝが引き戻してくれた。
耳にしていたイヤホンを片方取り除かれて、ハッとする。


LT「あまり根詰めるな」

YS「悪い・・・。ダンスも練習しないと、な」

LT「サンプリング、気に入らないんだって？」

YS「うん・・・」


椅子から立ち上がった俺の腕を、ﾄｩｷﾞﾋｮﾝが掴む。
俺は下を向いた。


YS「でも時間あまり無いし。これで妥協・・・する」


そういう考えに至ることも大人には必要だろ？
ただ、こだわるだけじゃ子どもと一緒だ。


LT「なに。何か悩んでるのか？言ってみろよ」

YS「そんなんじゃないよ・・・」


今は。ﾄｩｷﾞﾋｮﾝのそういう頼れるところも煩わしいんだ。
ﾄｩｷﾞﾋｮﾝの手の力が緩んだのを感じて―俺はﾋｮﾝをすり抜けるように弟たちのもとへ向かった。
背後からﾋｮﾝに声をかけられる。


LT「他のヤツらはどうか知らないけどさ。ｲｪｿﾝ、お前に歌を妥協するなんて無理だよ」

YS「・・・」


俺はﾋｮﾝを振り返って。
横目で睨みつけた。


そんなものに全く動じず。
ニコニコと―天使みたいな笑顔のﾄｩｷﾞﾋｮﾝ。
ハハッ、とんだ天使がいたもんだな。


LT「よしっ！ｲｪｿﾝもダンス練習するってさ。
せっかくだからみんなで合わせるところやろうぜ＾＾」


ﾄｩｷﾞﾋｮﾝがパンっと手を叩いた。


俺のこの苛立ちが―別にﾄｩｷﾞﾋｮﾝのせいでは無いはずなのに。
ﾋｮﾝの挑発には絶対に乗りたくない、そう思った。
意地と言われようが。
かまわないさ。

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