You and me... vol.2

ワンルームディスコ ページ11

「ねぇ、ﾃﾞｿﾝ。最近は・・・歌っているの？」

ﾃﾞｿﾝ「全然。来る仕事はほとんどﾊﾞﾗｴﾃｨか司会業だな」

「そっか・・」


ﾃﾞｿﾝはコーヒーを静かにすすった。


歌手としてのデビューは、確かｼﾞｮﾝｳﾝより早かったﾃﾞｿﾝ。
ｼﾞｮﾝｳﾝとは違う事務所に属していた彼は、あるﾎﾞｰｲｽﾞｸﾞﾙｰﾌﾟのメインボーカルだった。


だけど何年か前に、メンバーの一人が飲酒運転で不祥事を起こしてしまってから―
ﾃﾞｿﾝのそのグループとしての活動は激減してしまったようだった。
私は、日本にいたときにインターネットでその話を知った。


「私。ﾃﾞｿﾝの歌声好きだけどな・・・」


ﾃﾞｿﾝの声は、ｼﾞｮﾝｳﾝよりももっとずっと甘い声で。
SJでいったら、ｿﾝﾐﾝに近い声かも。


ﾃﾞｿﾝ「サンキュ。ちゃんと真面目に仕事していれば、いつかまたチャンスにも恵まれるさ」

「ん・・・」

ﾃﾞｿﾝ「そんな顔するなって。番組でSJやｼﾞｮﾝｳﾝとも一緒になることも多いんだぜ＾＾」


すっきりとした笑顔のﾃﾞｿﾝ。
そうだよね、私が落ち込むことじゃない。
こうして笑っているけど―きっと一番歌いたいのはﾃﾞｿﾝ自身なんだから。


気付くと、カフェの中がざわついていた。
周りを見回すと、女性客たちがちらちらとﾃﾞｿﾝの方に注目していた。
すっかり懐かしい友達と話していた気分になっていたけど、
ﾃﾞｿﾝも有名な芸能人だということを私は思い出した。


ﾃﾞｿﾝ「やば・・・俺先に行くわ。これから仕事もあるし」

「う、うん。連絡くれてありがとね、ﾃﾞｿﾝ」

ﾃﾞｿﾝ「今度はゆっくり飲もうぜ＾＾ｼﾞｮﾝｳﾝも入れてさ」


ﾃﾞｿﾝはそう言って、またサングラスをずらした。
きれいな二重の目がそこから覗いた。


＊


ﾃﾞｿﾝとのランチを済ませた私はマンションに戻ってきた。


「あ・・・」


当然だけど、家を出たときと全く変わらない部屋の風景。
私はまた途方に暮れそうになった・・・。


これから暗くなるから、せめてカーテンくらいは引かなきゃいけないのに・・・
このダンボールのどれに入ってるのか、自分で詰めたくせにさっぱり見当もつかない。


ああ、だからその前に。
日用品を買いに行かないとなんだってば。
でないと今日トイレにもお風呂にも入れないじゃん・・・。


引っ越してきたばかりなのに。
前途多難・・・。

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