You and me...

理由 ページ29

あれからきちんと父に手を合わせて挨拶をして。
母の手料理なんぞを食べながら、私はくつろいでいた。
なんだかんだ言っても、実家は落ち着くな・・・。


「てかさ、お母さん」

「なによ？」

「ホントになんで、あんな強引に私を呼び寄せたの？
こっちに戻ってくるために、2月3月とけっこう大変だったんだけど・・・」

「んーー特に理由はないけど？」

「はっ？！」


な、何それ！
私がどんな思いで、こっちに帰ってきたと思ってるの？！
私は開いた口がふさがらなかった。


「理由は―この前の電話でも言ったでしょ。
お父さんが死んで。私とアンタはたった二人の家族になってしまったんだから。
お互い支えあって生きていかなきゃいけないでしょ」


母は、私が日本からお土産で持ってきた緑茶をずずっと飲んだ。


「日本にいるのが悪いってわけじゃないの。私たちは日本人でもあるわけだしね。
そこで暮らしてみるのも、アンタにとってはいい勉強になると思ったから留学させたのよ」

「・・・」

「でも、もういいんじゃない？
居心地は良い国かもしれないけど、アンタの故郷はここなのよ」

「それは・・・わかってるけど」

「それにね」


だらしない格好で母の話を聞いていた私を。
母はぎろりっ！と鋭く睨んだ。


「アンタ・・・自分がいくつだと思ってるの？
浮ついた話をひとつも聞かない娘が心配じゃないわけないでしょ」

「うっ・・・！」


それに関しては・・・耳が痛いな。
私だって全く危機感がないわけではない。
同年代の友人で、結婚や出産を迎えている人も少なくないのに―
私はというと男の人と付き合ったことすらないのだから。


「日本の男の子より。こっちの子が多分アンタには合うわよ？積極的だからね。
頑張って彼氏くらいつくりなさいよ」


日本人がどーとかじゃなくて。
ただ単に・・・ｼﾞｮﾝｳﾝ以外の人を好きになれなかっただけ。


この母を安心させるには、どーしたもんかな・・・。
なんだか途方に暮れそうな話だった。


「ああ、そうだ。これもこの前言ったけど。
韓国に帰ってきたのなら、住むのはどこでもいいわ＾＾
ﾁｮﾝｱﾝだろうがｿｳﾙだろうが。好きにしなさい」


それを決めるのは―やっぱり私だよね。

変わり者の弟-LT→←ﾁｮﾝｱﾝにて

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