You and me...

再会-YS ページ17

「あれ絶対Aﾇﾅだよ！」


食堂の窓の奥に見える一人の女。
窓が室内の湯気で曇って、俺は顔なんてよく見えないっていうのに
彼女をｼﾞｮﾝｼﾞﾝはAだって言ってきかない。


「ﾇﾅ、もうこっちに戻って来たのかな？！」

YS「あ・・・おいっ」


荷物を抱えたまま、食堂に入るｼﾞｮﾝｼﾞﾝ。
俺も慌てて後を追った。


「Aﾇﾅ！」


ｼﾞｮﾝｼﾞﾝは中に入ったはしからなんの疑いもなく声をかける。
ホントにA・・・なのか？


料理を夢中で食べていた彼女は、ごくんとひとつ嚥下して。
驚いた表情でｼﾞｮﾝｼﾞﾝの方を見ていた。


「Aﾇﾅでしょ＾＾」

「うそ・・・ｼﾞｮﾝｼﾞﾝじゃん！」


あ。久しぶりに聞いた・・・。
Aの声、だ。


だけどAだって、頭ではしっかり認識しているのに。
あまりに突然の再会で―喜びとか感動とか驚きとかとまどいとか。
そんな反応が一切出てこない。


「ほらやっぱり。兄さん、Aﾇﾅだよ＾＾」


ｼﾞｮﾝｼﾞﾝが嬉しそうに俺の方を振り返った。
Aの目が俺を捉えたとき。
驚いた顔をしていたAの顔が
多分気のせいじゃない―ほんの少し翳った。


YS「A。久しぶり＾＾」


実に10年ぶりの幼馴染みとの再会。
俺は・・・きちんと笑えているだろうか。


＊


「ｼﾞｮﾝｳﾝ・・・なの？」

YS「んーー＾＾」

「あ・・・まさかこんなところで会うなんて。信じられない」


Aはどうやらホントに驚いているようで。
店の中をきょろきょろしだして、落ち着かなさそうだった。
だけど落ち着かないのは俺も同じだ。


「あ！とりあえず、こっち座ってよ二人とも。一緒にご飯食べて落ち着こう？」

「落ち着こうって・・・挙動不審なのはﾇﾅだけだよ」


ｼﾞｮﾝｼﾞﾝは両手に抱えた袋を、空いたテーブルの上に載せた。
もう夜遅いから店の中は空いてるし―問題なさそうだ。
俺も同じように荷物を置いて、Aがいる席の向かいに座る。


YS「A。一人・・・なのか？」

「う、うん。今さっきこっちに着いたばかりなの」

YS「まさか・・・これから実家に帰る気か？」

「ん・・・んーー」


Aの目が上方へ泳ぎだした。
俺はピンときた。
こうなるときのAは、なにか後ろめたいことがあるときだ。

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