You and me...

ｼﾞｮﾝｳﾝの部屋 ページ26

「いい夢見てね＾＾」って言って、おばさんは部屋から出ていった。
いい夢。
うーん、いい夢ね・・・それはどうだろ・・・。


思っていたより物が少ないｼﾞｮﾝｳﾝの部屋。
ベッドとスチール製のラックしか置いてない、シンプルなその部屋は
逆に私を落ち着かなくさせた。


ラックには、オーディオやCD、書籍などがきれいに整頓されて置いてあった。


「なんだか難しそうな本がいっぱい・・・」


私は1冊を手に取って、ぱらぱらとめくってみた。
どうやら歌の教本のようだ。
他にも演劇についての本とか、楽譜なんかもあって。
ｼﾞｮﾝｳﾝが歌手になってからも、貪欲に自身を高めているってことが窺えた。


そうだよね。
ｼﾞｮﾝｳﾝ。随分長いこと・・・練習生をやってきたんだもんね。


一朝一夕で、彼が夢を叶えたわけじゃないってこと。
今の人気絶頂のｲｪｿﾝを見てたら忘れそうになるけど―
それは彼が絶えず努力してきた結果だった。


「さて、と。あんまりジロジロ見ちゃ悪いよね」


取り出した本をしまおうとしたら、ラックの中段に置いてあった写真立てが目に入る。


「あ・・・」


懐かしい写真が飾ってあった。
小さい頃のｼﾞｮﾝｳﾝと、私と、ｼﾞｮﾝｼﾞﾝ。
20年くらいの昔のやつじゃないの、これ・・・。


「私・・・ｼﾞｮﾝｳﾝに引っ付いてるよ(笑)」


まだｼﾞｮﾝｳﾝに恋心を抱くまえの―彼を純粋にお兄さんだと慕っていた頃の私。
今日―ｼﾞｮﾝｳﾝに久しぶりに会って。
とりあえず彼が、私を妹として変わらず大事にしてくれてるっていうのはわかった気がした。


なんとなく微笑んでその写真を眺めた、大人になった私。


その写真も元に場所に戻して。
ほんのちょこっとだけヨガをやって寝ることにした。
どんなに疲れていても、ヨガで体を緩めてからじゃないと気持ち悪く感じるんだよね。


「えっと・・・それじゃお借りしますか」


ｼﾞｮﾝｳﾝのベッド。
やだな、なんで緊張してるんだろ私。
だけどお布団の中にもぐると、なんともいえない落ち着く匂いとあったかさに包まれて。
私は案外あっさりと眠りに落ちていた。


なんかいい匂いするな・・・これ、ｼﾞｮﾝｳﾝの匂い？
いや違うよ。
これは・・・きっとお日さまの匂いだ。


もう夢の世界に入り込む直前で―
私はｼﾞｮﾝｳﾝの名残を打ち消した。

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