You and me...

実家-YS ページ11

この前のレコーディングで収録した音源のサンプリングができた。
コピーを何枚かマネージャーにもらったので、俺はそれを宿舎に持ち帰った。


今日は珍しく早い仕事上がりで。
宿舎にはメンバーがほとんどいない。
SJとしての活動だけではなくて、個人名義の仕事も多いのが俺たちだ。


俺の部屋にあるプレーヤーで、サンプリングに耳を通す。
今回のアルバムはわりと落ち着いたイメージの楽曲が多い。
なかなか試行錯誤して掴んだ歌もあって、出来が気になっていた。


YS「・・・」


うん、自分の中では満足のいく出来だな。
ひととおり耳を通すと俺はアルバムの中の1曲を口ずさみながら、亀たちを眺めた。


YS「さて。腹減ったな・・・どうするかな」


リビングにあるスケジュールボードを見ると。
可愛い弟・ﾘｮｳｸも今夜は帰りが遅そうだ。


YS「実家。顔出すか」


母さんやｼﾞｮﾝｼﾞﾝの顔見たいし。
コミンとも久しぶりに遊んでやりたい。
俺は車のキーをキーラックから抜き取って、上着を羽織った。


＊


YS「よっ」

「あら〜ｼﾞｮﾝｳﾝ！珍しいわね、お仕事早かったの？」

YS「んーー＾＾」


俺たちSJが韓国でブレイクして。
まとまった収入が入るようになったとき、俺はﾁｮﾝｱﾝから家族をｿｳﾙに呼び寄せた。
ここは俺が母と弟にプレゼントしたカフェ。
店の中は・・・俺の写真だらけ(笑)


夜なのもあって客やファンがまばらだったから。
マスクくらいはしているけど、俺は堂々と店の中に入った。


YS「ｼﾞｮﾝｼﾞﾝとコミンは？」

「どっちも上にいるわよ。今日はｼﾞｮﾝｼﾞﾝが夕飯作ってくれたの＾＾
お兄ちゃんも食べてく？」

YS「うん＾＾」


俺は2階の部屋に上がった。
厳密にはこの店が実家ではないんだけど―
母と弟は大体ここで生活していることが多い。


「あ、兄さんおかえり！」

YS「ただいま、ｼﾞｮﾝｼﾞﾝ＾＾」

「ちょうどいいや。さっきまで夕飯食べててさ。
まだあったかいから兄さんも食べてって」


俺の3コ下の弟・ｼﾞｮﾝｼﾞﾝ。
この店と母を任せられるくらいしっかり者の大人になった。


YS「お前・・・昔は俺にべったりのお兄ちゃん子だったのにな」

「いきなりなんだよ(笑)それにべったりって。Aﾇﾅほどじゃなかったし」


A―。
懐かしい名前だ。
何の予告もなく出たその名前に俺の心臓は跳ねた。

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