Tonight, tonight. vol.4 (ページ4)

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夢で踊りましょう2 ページ4

おっどろいたぁ。
あのｷｭﾋｮﾝ・・・！
さん！だ！

ｷｭﾋｮﾝが人差し指で「シー」の仕草をする。
男の人なのに、長くてきれいな指だな。
あまり目立つ装いじゃないのに～こういうところが芸能人っぽい。

っと、危ない。
テレビとかでふと目にするときは～勝手に胸の内で「ｷｭﾋｮﾝ」呼びしてたから(笑)
その本人が制してくれたおかげで、うっかりそう口に出なくて良かった。

ダメダメ、かつての仕事相手なんだから。それも一度きりの。
それに彼は芸能人。
こんなところで目立つのは―もっとダメ。

いや、それにしてもこんなところ・・・まさかヤコブベーカリーの。
メロンクロワッサン行列で、まさか芸能人であるｷｭﾋｮﾝと出くわすだなんて。

だけど。

KH「僕、このお店初めてなんですけど。いつもこうなんですか？」

「あっ、行列ですか？これでも今日はいつもより少ない気がしますけど―」

KH「うわ・・・信じられないな」

行列を少ーしずつ進みながら。
目の前のｷｭﾋｮﾝと何気なく雑談する。
列の動きが止まるたび、ｷｭﾋｮﾝは体を90度だけこちらに向けて話してくれる。

KH「メロクロとやらが人気って聞いて。
その。メンバーたちが買って来てくれって。僕、末っ子なんで」

「それは～大変(笑)末っ子もラクじゃないですね」

KH「・・・はい」

マスク越しだけど、ちょっと仏頂面な感じで。
ポツポツと自分のことを話すｷｭﾋｮﾝ。

メンバーって、SJの面々のことだよねぇ？
でも、いつだかのイベントの食事風景を思い出すと～。
なんかその様子も簡単に想像できそうだった。
あのときも確かｲﾄｩｸが、この子にｼﾞｮﾝｳﾝくんを探してくるようご指名してたっけ。

あ・・・ｼﾞｮﾝｳﾝくん。
もうあんまり思い出さないようにしていたのに―ふいにその名が思い起こされて。
小さく胸が痛む。ちょっと・・・もう痛まなくていいんだってば。

はっ！ていうか、まさかこのｷｭﾋｮﾝは知らないよねぇ？！
私とｼﾞｮﾝｳﾝくんが・・・何かのマチガイであんな夜を過ごしたこと。

自意識過剰かもだけど、考え出すとなんか怖くなって。
こうしてあまり話したりせず、適切な距離を保っていた方がいいかもしれない。
だって向こうは芸能人―そう思ったのに。

KH「あ。前動いた」

「あ・・・はい」

KH「買えるといいですね」

ｷｭﾋｮﾝはそう言って。
私が歩き出すのを待っててくれてるかのように。
今度は180度でこちらを振り返っていた。