センシティブなあの子2 ページ40
・・・なんか、さっきから私。
やけに意固地というか〜ちょっとムキになってない?
連絡来てないことに、なんだかんだでがっかりしてない?
仕事なんかの電話じゃない。
ジョンウンくんから・・・だよ。
「・・・」
ふいにソファの上に無造作に放っていたバッグから。
アレン先生の作品が印刷されたポストカードを取り出す。
半裸の美しい青年がこちらを見つめている絵―。
悲しみとも諦めともつかない・・・だけど決して虚無ではない。
そんな静かな眼差しをたたえている。
先生、誰かをモデルにして描いたりしたのかな。
「う〜ん、似て・・・るかぁ?似て―」
・・・る、ような気がする。やっぱり。
それは例えば〜高校生だったときの「キム・ジョンウン」くんを。
もう少しだけ大人にしたような。
―今でも思う。なんであのときあんなことしちまったんだろうって。
―若気のいたり、だな。
ほんの1日前の、今くらいの時間。
思い出話をしながら―遠い目をしていたジョンウンくんが。
この絵の青年の印象と重なった気がした。
って。
「昨夜のことも・・・若気のいたり、だったとか?」
〜〜っ!そうだとしたらやっぱりなんか腹立つ!
あともう全然若くもないし!
結局のところ―私が一番こだわってるんだった。
昨夜のこととか。
あの子のことに。
*
ちょっと気分を直したくてテレビをつけてみる。
もう遅い時間なのもあって、ニュースや報道番組が多い。
火災や交通事故などの悲しい報道。
政治家の無責任な言葉。
そういうの・・・ちょっと今は受け付けない。
チャンネルをいくつか切り替えていると―
「―ソウルの記念広場前では、Super Juniorのキュヒョンが。
自身のソロコンサートの2日目を飾りました。明日は千秋楽を迎え―」
へぇ、キュヒョン?ソロコンサートですか。
しかもその広場だったら〜昨日近くを通ったんじゃない?
そしてキュヒョンといえば―。
思わず視線が、テーブル上のマグに向かう。
「・・・ふふっ!」
やーだ、思い出しちゃった。
そういえばそのキュヒョンとも〜ワインの因縁があったんだったね。
赤ワインぶちまけ事件のキュヒョン。
あのときの慌てふためいていた彼を思い出したら―
悪いと思えど、可笑しくって。
笑っていたら、くさくさした気分が薄れていって。
「あ〜〜!元気にしてくれてありがと、キュヒョン!」
本人に届くわけなんてないけど。
ホントにちょっと元気出たから―お礼言っとくね。
82人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/
作成日時:2019年11月11日 21時