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Dear Boy.2 ページ15

―A、起きれるか。サムソンに・・・


サムソン?ああ〜〜ハイハイ、私の家に着いたんだね。
わざわざここまで送り届けてくれて本当にありがとう。
・・・くん。


―お、おいA・・・真っ直ぐ歩け;今に転ぶぞ・・・


えっ?私そうできていない?
ちゃんと自分で歩いてるでしょう?
もちろん転んだりなんてしません!もう大人だしね。


どこかから降ってくる声が―なんだかやけに聞こえが遠いというか。
まるで深い水の中に潜っているときのような―くぐもった響き。
でもそれが誰のものかはわかる。
これは〜・・・くん、の声。


いや〜〜それはともかくとして、良かった。
さっき飲んだ胃薬がしっかり効いてくれて。
ちょっと雲行きがアヤしかったけど〜もうほとんど胃の痛みは無くなった。


あとはもう、ベッドに横になって休むだけだね。
明日は〜お得意先でもあるアレン先生との仕事だし。
私は倒れ込むように・・・ベッドに体を沈ませた。


なんだか・・・いいお天気の日に干したときのようにふかふか・・・。
うつぶせ寝から、ごろりと仰向けに体の向きを変えると。
ここにきて無性に、体にまとわりつくような窮屈さを覚えて。


あ〜〜・・・そういやスーツ着てたんだっけね、私。
起き上がって着替えるの・・・めんどくさ。
私にしてはこれでも珍しい〜そんな横着心が頭をもたげて。


だけどそんなとき―鼻先を。
清涼感のある芳香が掠めていく。
ああ!これってあの子の香水の匂いじゃない?


ほらほら、あの子!


―A。

―なぁ・・・A。まだ寝るな。


うん、やっぱりそう!
そうだよこの声のさぁ、ジョンウンくんだ!
高校の同級生だった「キム・ジョンウン」くん。


思い出したように、そうだとわかると不思議。
私を取り巻いていた息苦しくなるような窮屈さが・・・軽くなっていく。


そうして―


―今夜はもう少しだけ。俺と・・・ここにいろよ。


「ん・・・っ」


柔らかい感触。
どこにって・・・まずおでこと、右まぶた、と。
次は―口唇。
それから―体のあちこち。


あ・・・なんだかこういう感じ。随分久しぶりな気がする。
くすぐったくて・・・恥ずかしくって。
だけども甘くて。刺激的で。
多分、嫌な気分なんかじゃ・・・全然無くって。


だから。
だから私は―


彼の髪を・・・クシャってして。
彼の口唇に・・・触れたの。


私も彼も。
その罪深さに―少なくとも今夜はこれっぽっちも気付けてなかったから。

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作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/  
作成日時:2019年11月11日 21時

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