検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:20,484 hit

Hello, Friday.-YS ページ14

スムーズに乗れたのは幸いだったが。
やたらと荒っぽい運転のもと・・・市街地を進む。


さっきの思わぬアクシデントの・・・「おかげ」、だとは言わないが。
俺の右腕には―彼女の重みがある。
もっとも、そう促したのは俺なんだが。


体の具合が良くないせいだろうか―
バーでは、こちらに話題をたくさん寄こしてくれていたAの。
その口数がずっと少なく、やけに静かで。


YS「・・・?」


うつむいている彼女のほうを、ふとのぞき込んでみると。
なっ・・・まさか。寝た、のか・・・?
このほんの数分の間でか・・・?!


すっかり目を伏せて。
こちらに身を預けているAの表情は、思ったほど辛そうなものでなく。
どうやら彼女が飲んだという薬が・・・効き始めてきているようだった。


その様子を確認したら。


YS「・・・ハハハ;」


ついつい脱力めいた笑いが上がっちまったよ・・・俺は(笑)


思い出してみれば、昼間のオフィスで。
スケジュールでびっしり埋まっていた―Aのカレンダー。
そこで唯一空白になっていたのが今夜、だったな。


YS「・・・」


身じろぎはしないよう・・・だけど深く息を吐く。


もうほどなくすりゃサムソンに着くってのにな。
何やら厄介なことになっているような気がしないでもない、この状況に。
どこか面白可笑しさみたいなものを感じている自分が―我ながら不思議で。


これも妖精の魔法の仕業かな、なんて。
酔いの醒めかけた頭のどこかで。
わりと冗談じゃなく―そう思っていた。





「もう着くよ、サムソン!どこで降ろしゃいいの?!」

YS「・・・!」


運転は人を表す、というか。
運転手のやけに気短かな声に、ハッと我に返る。
なんつーかもうさ・・・怒鳴ってるじゃないか;


だというのに―俺の隣のAは。
まだ目を覚まそうとする気配がない。
もうさすがに・・・起こすべき、だな。


だけど。


YS「A、起きれるか。サムソンに―」

「ん・・・」


着くぞ、と告げるところで。
なぜだろうか―Aの無防備な寝顔を再び目に入れて。
そうする気が・・・一気に削がれていく。


それは決して―彼女をこのまま起こさないでおいてやりたい、だなんて。
紳士のような気遣いではなく。


時刻は、時計の短針と長針がちょうど重なり合う頃―


YS「それじゃこの先の。インターコンチネンタルまで―」


シンデレラの魔女の魔法は12時になったら解けるが。
妖精の魔法は―きっとまだ終わらない。

Dear Boy.2→←Hello, Friday.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:superjunior , イェソン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/  
作成日時:2019年11月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。