Tonight, tonight.

さまよう雲-KH ページ10

どうやらまだ設営中のように思える―
テレビでの収録スタジオなんかとは違って、小規模スペースのステージ。
ここが今日の、僕らSJの―仕事の場所。


ここはとあるホテルの、セレモニー用の一室ってことで。
特殊な舞台装置があるわけでもなければ、僕らが披露する歌も2曲ほどって話だ。
それなのに、そのわりには〜なんだか会場全体の空気がやたらと慌ただしい。


というのも。
制服姿のホテル従業員が、ボヤいているのをさっき偶然聞いてしまったんだけど。
このイベント運営の主軸になる人が、急きょ代わることになってしまったみたいで。


だから・・・なのか？
開始まで、時間ももう迫ってるというのに。
大して打ち合わせらしきものもしてなければ、歌以外になにをすべきなのかも伝えられてない。


ま、主催側はともかく。
仕事と言われたら、全力でやりますけどね。
僕らはプロだ。


だけど。


「あーあー！テステス、マイクテス！本日は晴天なり〜＞＜」


音の出てないスタンドマイクの1本を、両手で持って。
わちゃわちゃと地声をまくしたてている〜設営スタッフと思しき女の子。
まるで素人のど自慢大会の参加者か、売れないピン芸人みたいだ(笑)


ところでそのマイクさ・・・壊れてるんじゃないの？
そして、今日のステージの立ち位置的に。
そのマイクを本番で使うはずの人といや―


LT「ｲｪｿﾝのヤツ〜〜どこ行ったぁぁぁ＞＜」

EH「なにしてんだぁ、あの人；」

KH「・・・はぁ」


いるべき場所に、こうしていないわけで。


僕ら兄弟は・・・盛大なため息をつかずにいられない。
最年長でもあるリーダーは血圧が上がらないか心配だ。
僕たちコートの衣装で統一してるし、ここもライトのおかげで暑いし。


まぁそんなわけで。
どこか混乱してるようにも見える、今日のイベント会場。
ここのスタッフたちはともかく〜僕らは、ね。
こういうのもいつものことといえば、そうで。


方向音痴のあの人のことだ。
この仕事に不満があって、アブラ売ってるとかじゃなく。
どうせこの会場内で迷ってるに違いないんだ(笑)


KH「ちょっと・・・控え室のあたり見て来ます；」


こうして僕が、この役目を買うのもいつものことで。
でも今日は―


SD「あっ、来た来た！ｲｪｿﾝﾋｮﾝこっちっ＞＜」

YS「んーー」


僕が見つけに行かずとも。
一応は自分の力で、ここまで辿り着いたみたいで。
それはいいけど。


LT「少しは慌てろよ〜〜＞＜」


ほらね。
怒られた。

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