Tonight, tonight.

Can you feel it?-YS ページ29

今日の衣装の、見目だけはやたらと豪勢なコートを脱いで。
その下の首に引っ掛けていた、俺だけのものであるイヤモニのコードを丁寧に巻き取る。
長年連れ添った相棒のような―俺たちにとって大事な仕事道具のひとつだからな。


だが今日にいたっては、な。
音楽もメンバーたちの肉声も十分に拾うことができたし、時間的なラグもほとんど無いに等しく。
この規模の会場には周到すぎた用意のような気がした。


もっとも、その分。
音取りに気を張らずに済んだ―自分らしく歌えたステージだったとも思う。


短時間とはいえ、さ。
そういうステージを作り上げられたのは・・・歌い手として意味のあることだ。
少なくとも俺はそう思っている。


だが、その一方で。


DH「いっそ『チョギワ』にすりゃ良かったんじゃない？！会場のお客さんたちも巻き込んでさ」

EH「ああ〜〜！そうだな、あれなら絶対盛り上がったよな＞＜」

KH「単にアンタたちがチョキチョキやりたかっただけでしょ・・・D&E」


弟たちにとっては。
あれ以上の可能性や伸びしろを見出せそうなものだったようだ。


ステージたったひとつを取っても、それぞれ感じるものはこうも多様なのだから。
そこがグループやユニットで在ることの―興味深くも。
難しいところ、かもしれない。


だけど。


ニカっと笑って、人差し指を立てた両手を頭上に掲げた魚コンビ。
コイツらがこのポーズをするときは決まって・・・触角のような2対のちょんまげが見えて。
ん・・・不思議だ、な(笑)


というわけで。


EH「・・・Can you feel it? Can you feel it？！」

DH「チョっキチョキ、チョっギワ〜〜♪チョアっ！」

LT「チョキチョキっ！ワーワー＾＾」

SW「That's right〜！」


お決まりのフリから。
ガタガタと足を踏み鳴らして飛び跳ねる・・・兄弟たち。
D&Eのアルバムのプロモーションに俺たちも関わったためか・・・条件反射に近い(笑)


そんなノリに。
俺も混ざりたい、という気持ちと。
あれをやったら確実に疲れる・・・という気持ちがせめぎ合う(笑)


が―


KH「ﾋｮﾝたちでケータリング行く人ーー？！」

SD「はい！行く行くっ＾＾」

KI「メシーー」

DH「！！待ってよ、俺たちも行くし〜〜＞＜」


参謀役マンネの声を合図に。
いつの間にやら着替えの済んだメンバーたちが、この控え室を退出しだして。


ただチョキチョキを傍観していただけの俺は。
どういうわけか、また兄弟たちから置いていかれたのだった。

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