Candy Man vol.4

愛を込めて中指を立てて-KH ページ27

ﾌｪｲ「・・・失敬。不躾でした」


ﾄｩｷﾞﾋｮﾝの―静かな気迫に怯んだのか。
思いのほか素直に引き下がった―ムカつくヤツ。
もうその名前を口にするのも、なんだか虫唾が走りそうだ。


それにしても僕としたことが―こんなヤツの挑発をモロに受け取って。
つい冷静さを欠いてしまった。
もう間もなく収録だってのに・・・何をビビってるんだ、僕は。


ﾄｩｷﾞﾋｮﾝが、僕らの間に割って入ってくれて正直助かった。
リーダーとして―ﾊﾝｷﾞｮﾝﾋｮﾝの立場を守ってくれたのも。
そうしてくれなきゃ、ブン殴ってるところだぞ。


だけど。


ﾌｪｲ「ではまた―のちほど。ククッ」

KH「・・・チッ！」


ヤツが僕らに怯んでた時間なんて、さして長いもんじゃなかったようで。
僕はというと、ヒラリと衣装の裾を翻してここから離れたアイツに。
この程度のお返しをするぐらいが精一杯だった。


まだ残ってる悔しさで、口唇をギッと噛んだところに。
ﾄｩｷﾞﾋｮﾝとﾋﾁｮﾙﾋｮﾝの二人が、僕の肩と腕を引いた。


KH「ﾋｮﾝたち。取り乱して・・・すみません」

LT「お前が謝ることじゃない。今は―好きに言わせておけばいいんだ」

HC「オメーの反応は。なにも間違っちゃいねーよ」

KH「でもアイツの笑い方。すごく・・・嫌な感じでした」


たまにうちのｲｪｿﾝﾋｮﾝも、くぐもった低い声でさ。
あんな風に「クッ」って、歯の奥で噛み殺したような―そんな笑いをすることがあるけど。
アイツとｲｪｿﾝﾋｮﾝのじゃ、全然違う。


アイツのは、悪意とか皮肉とか嫌味みたいなのがたっぷりと込められてるけど。
ｲｪｿﾝﾋｮﾝがそう笑うときは。
ﾋｮﾝが自分自身に―やりきれなさとか、憤りとかを感じているときで。


今、やりきれなさを感じてるのは。
僕も・・・だけど。


そんなとき。


ﾀﾞﾝ「ｲｪｿﾝさん―」


この空気の中で。
凍り付いたものを一瞬にしてとろかすような―甘ったるい声が響く。


そしてその声は。
その名を呼ぶように―うちの兄貴の。
ｲｪｿﾝﾋｮﾝをご指名で。


すり足のように、スッと。
これまた音も無く、ｲｪｿﾝﾋｮﾝの前に歩み出る男。
コイツらみんな・・・この特技を心得てるのか？


ともかくも、今度のそいつは。


HC「ついに・・・出やがったな。抱かれたい男ランキング上位」


―みたいで。


さっきからずっと気になってたんですけど。
ﾋﾁｮﾙﾋｮﾝ・・・その類の情報、一体どこから仕入れて来てるんですか？

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