BE THERE vol.6

Swinging journey-YS ページ10

わざわざ見送りに来てくれた弟たちと別れて。
俺はエスカレーターではなく、階段でホームへと降りた。


お・・・あった。
ハヤブサ・・・これだな、俺が乗る新幹線。


まだ運転を開始してそこまで年数が経っていないという―
長い鼻ヅラとボディに、ミドリのラインが仕込まれたデザインの特急急行列車だ。
ふぅん・・・すごそうだな、なんか。


ﾘｮｳｸの言うように、もうすでに着ていたそれ。
出発時刻の5分前を切っていたところだった。


中に乗り込もうとすると。


YS「・・・？！」


ホームから得体の知れないヤツが、俺の方にカメラを向けてバシャバシャやってるのに気付く。
まさか日本でも―パパラッチ、か？
そいつらから、つい最近の手ひどい仕打ちに遭ったばかりの俺は思わず身構えた。


が―


「かっこいい〜〜！美しい〜〜＞＜はやぶさ〜〜♪♪」

YS「・・・」


俺が立っている方だけじゃなく、様々な角度から列車を撮りまくっている―
どうやらただの鉄道オタクだったらしきヤツ(笑)
早合点してごめんな。好きなだけ撮るといいさ(笑)


自分の指定席が近い乗車口に足を踏み入れると。
ちょうどそのタイミングで、この列車が出発するというアナウンスが構内に響いたのだった。


＊


指定席に腰を落ち着けたところで、すぐに動き出したハヤブサ。
これに乗れば―俺が今から向かおうとしている場所まで。
2時間もかからないという話だった。


うっかり寝ようもんなら・・・絶対に降り過ごすってもんだな(笑)
起こしてくれるしっかり者の弟たちも、もういない。


YS「ん・・・そういや」


肩から下ろした荷物から。
さっきｳﾆｮｸに手渡された本を取り出す。
旅の参考にしろって言ってたな、アイツ。


その表紙には・・・「日本全国駅弁巡り」と。
俺の読めない日本語で書かれていた。


そう。
字は読めない、んだが。


YS「美味そう・・・」


パラパラとその本をめくってみると、ただひたすら弁当らしきものの写真が載ってあって(笑)
俺にしては珍しく、空腹を覚えてしまった。


そんなときちょうど。
菓子やら飲み物なんかが載ってるワゴンを押した若い女が通路に来て。
お・・・弁当もあるじゃないか。


そんなわけ、で。


YS「それ。ハンゲジュセヨ＾＾」


まさしくそれが、俺が手にしている本にある―
「駅弁」と呼ばれているものとも知らず。
俺は買い物を楽しんでいた。


二日酔いでまだ少し頭ん中は痛いんだが。
とりあえず―食欲はある。

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