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決別のとき ページ44

来たときは身軽そうだったのに〜。
私があげたもののせいで、大荷物になってしまったジョンウンさんを駅でお見送りして。


なんか・・ホントに東京まで帰れるのか、ちょっと心配なんだけど。
大丈夫・・・だよね?
ジョンウンさん、私より年上だし、大人だし。
ここまでだって一人で来れたんだもの(笑)


私も・・・少なからず、思った。
ジョンウンさんと一緒に。
今日のうちに韓国に帰りたいなって。


でも―
昨日、ジョンウンさんにたくさんの勇気をもらえたから。
今なら私、変われるんじゃないかって。
そんな気がしたから。


「さ。行かなくちゃ」


そして。
前を向かなくちゃ。


ここからなら、私も。
一人で大丈夫。





市内のお店がオープンしだす時間帯に。
急ごしらえみたいな感じで、新しい靴を買った。


昨日までのスニーカーは、箱に入れて。
私も明日の帰りは、荷物が多くなってそう。


スリップオンというか〜ドライビングシューズみたいなそれを裸足に履いて。
昨日はジョンウンさんと一緒に向かっていた―同じ道を運転する。
でも今日向かう場所は・・・私の実家があった街でも、あの海でもなかった。


「・・・」


市内から、やっぱり小1時間ほど離れた場所。
適当なところに車を停めて。
私はそこから降りたのだった。


仮設住宅が棟になって立ち並ぶ―あたりが開けた地域。
ここは・・・かつては漁業が盛んな街だったけど。
今はすっかりその景色が変わってしまっていた。


小さなドアが、ポツポツと横並びになっているうちのひとつ。
その前で足を止めると。
私は一度だけ深呼吸した。


大丈夫。
きっと・・・大丈夫よ。


たとえ「今さら」って責められても。
そこにどんな事実があっても。
今ならきっと・・・大丈夫だから。


胸の中で、自分にそう言い聞かせながら。
一度だけインターホンを鳴らす。


中から響いてきた、パタパタという音に息を詰めながらも。
このドアが開かれるのを待っていると―


「・・・っ!Aさん・・・!」

「おばさま・・・。ご無沙汰しております」

「ああ・・・ああ。なんということでしょう・・・」


懐かしい顔と。
その人の、涙ぐんだ声に迎えられて。
すぐさま目の奥が熱くなってくる。


「上がって・・・っ。Aさん」

「はい・・・」


ごめんね。


私・・・ようやく、だね。
ここに来れるまでに時間すごくいっぱいかかっちゃった。
ようやく会いに来れた・・・。


タツヤ―。

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Mercury zero(プロフ) - ayaさん» オンニはすでにぎゅ様好きでしょーwwぎゅ様は...ホントは優しいよねぇ、ホワイトだよねぇ。わたひも大好きwwその調子で兄さんも応援してあげてね^^よーやくクライマックスだぜー! (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
Mercury zero(プロフ) - 瞳子さん» 同じ書き手でもあるトーコさんにそう言っていただけると嬉しいです><フィクションではありながらもリアリティは追及したいと、この作品がまだ漠然としたイメージだったころからありました。私にしか伝えることができない兄さんの話であればなぁと^^ (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 3時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)
瞳子(プロフ) - 今回のお話は何だかジーンと来たというか・・・こういう描写は変な話、経験された方じゃないと書けないところではあるかなと思いました。 ヒョクちゃん推しでしたが、兄さんとの空気感がとても良かったですぅ。 (2014年4月8日 2時) (レス) id: 5c0954decf (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 1時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/  
作成日時:2014年3月18日 0時

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