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グレーの雲が流れたら-YS ページ29

傾きかけた太陽が―あともうじきってところで。
白い月と入れ替わるころ。


その身に荒々しいまでの、感情をたたえた―Aは。
その感情をオレンジ色に照らされたそこに沈めたがっているかのように・・・
海の中に身を入れていた。


だけど、この海をもってしても―彼女の深い絶望や孤独。
それは癒えるどころか。
むしろ・・・いたずらに喚起させてしまったのかもしれなかった。


Aは両腕で波をかき分けるように、深みまで進んで。
彼女のショートパンツの裾が水面につくかつかないかってところで、歩みを止めた。


その場で激しく両腕を振り乱すA。
そのたびにパッとしぶきが上がって。
時折俺の位置からも見える―苦痛に顔を歪めた彼女は。


YS「・・・」


美しい、と。
俺は傍観者のように。
Aのそんな姿をただ眺めていた。


柔らかい砂の上に腰を下ろす。


「〜〜〜っ!!・・・ああああっっ!!」


陽をその手にいただくように―太陽に祈りを捧げるかのように。
宙に向けて掲げられたAの両腕。
だけど伸ばされた手は・・・やがて彼女の顔を覆っていた。


それで・・・いいんだ、A。
なにも恥ずべきことじゃない。
失望したりもしない。


君が独りで抱えてきたそういうものを―ずっと知りたいと思ってたんだ。
それをも含めた君を。
好きでいたいと思ってた。


Aをこの地に連れてきたことを、すまないとは思っても。
彼女の信頼を全て失ったとしても。


俺は―今日のことを。
後悔しないさ。





どれくらいの時間が経ったか・・・ふと空を見上げると。
そこはオレンジと、薄紫が混ざったような色になりかけていた。


YS「・・・ん〜〜。んん〜〜・・・」


砂の上で、空を仰ぎながら。
なんとなしに、口から歌がこぼれてくる。


俺のソロ曲の「Waiting for you」・・・いや、違った。
「gray paper」、だ。


これ・・・冬の歌なんだが、な。
だがリリックの一部のざくざくってとこ。
なんとなくこの浜辺にも似合わない気が・・・しなくもない。


別にこの地や、Aの家族や恋人に対しての―
鎮魂歌のつもりなんか、毛頭無かった。


だけど。


この歌が出てくるってことは。
俺はやっぱり・・・後悔しているのだろうか?
だってこれは。「ある一人の男」の―そういう心情を歌ったものだ。


そんな疑問がふと浮かんできても。
Aが自分自身と向き合っている間―


俺はずっと口ずさんでいた。

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Mercury zero(プロフ) - ayaさん» オンニはすでにぎゅ様好きでしょーwwぎゅ様は...ホントは優しいよねぇ、ホワイトだよねぇ。わたひも大好きwwその調子で兄さんも応援してあげてね^^よーやくクライマックスだぜー! (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
Mercury zero(プロフ) - 瞳子さん» 同じ書き手でもあるトーコさんにそう言っていただけると嬉しいです><フィクションではありながらもリアリティは追及したいと、この作品がまだ漠然としたイメージだったころからありました。私にしか伝えることができない兄さんの話であればなぁと^^ (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 3時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)
瞳子(プロフ) - 今回のお話は何だかジーンと来たというか・・・こういう描写は変な話、経験された方じゃないと書けないところではあるかなと思いました。 ヒョクちゃん推しでしたが、兄さんとの空気感がとても良かったですぅ。 (2014年4月8日 2時) (レス) id: 5c0954decf (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 1時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/  
作成日時:2014年3月18日 0時

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