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Orange...-YS ページ27

女であるAよりずっと・・・ダサい、というか。
情けない具合に登った防波堤。


今日の俺は、いつものごとく黒の洋服で揃えていたんだが。
登る際にコンクリートで擦ったせいで、T-シャツの裾やらジーンズの膝のあたりが白くくすんでしまって。
ついでに・・・手のひらもわずかに擦りむけた(笑)


だけど、そんなすっとろい俺も―


YS「・・・!」

「ふふ。あまり・・・きれいな海じゃないですね」

YS「そんな・・・ことない」


夕暮れの陽で―
オレンジに染まった空と海を前に。
息を呑む。


海自体は・・・確かに、きれいな水ではないのかもしれない。
普段なら青い色をしていないのかもしれない。


だけどこの景色は。
言葉とか価値なんてつけられないくらいに―美しくて。


ああ、そうか。
A・・・やっぱり君は。
この海とともに生きてきた―人魚姫、なんだな。


「浜辺・・・行きましょう」

YS「・・・?」


わずかにヒリヒリする俺の手をAが取って。
再びAの手に引かれるままに行くと。
どういうわけか、浜辺側の防波堤には浜に下りられるように階段があつらえてあった。


さっきとは違って、苦労もせずコンクリートを下りると。
すぐさま足元が、柔らかいものに埋もれる感触をつかむ。


ハハ・・・すごい、な。
俺の目に映る、何もかもがオレンジなんだ。
空や海だけじゃなく―この砂も。


誰もいない―この海辺は。
まるでAという名の人魚姫のためだけの。
ひっそりと守られた、童話の中の世界―そんな地だった。


潮の匂いが混じった、心地良い風が。
ここに佇む俺たちを撫でたとき。


Aとつないでいた手―そこに彼女の力が加わる。
それは彼女の爪が俺の手に刺さりそうなくらいの強い力で。
そこを通じて―Aが震えだすのがわかった。


横のAに・・・顔を向けてみると。
Aはギリギリと口唇を噛みしめながら。
波がざわめく海に目をやっていた。


彼女のその口唇までもが小刻みに震えていることを、確認した瞬間―


「・・・っ!!」


俺の手を振り払ったAは、浜の砂を手の中に掴んで。
それを―目の前に海に向かって。
投げつけていた。


「・・・っ!はぁ、はぁ。・・・っ!!」


何度も何度も。
恐らくそこに怒りをぶつけるかのように―同じことを繰り返すA。


俺はもっと早く。
ここに来るより前に―気付くべきだった。


悲しい人魚姫の・・・人知れない熱い感情に。

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Mercury zero(プロフ) - ayaさん» オンニはすでにぎゅ様好きでしょーwwぎゅ様は...ホントは優しいよねぇ、ホワイトだよねぇ。わたひも大好きwwその調子で兄さんも応援してあげてね^^よーやくクライマックスだぜー! (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
Mercury zero(プロフ) - 瞳子さん» 同じ書き手でもあるトーコさんにそう言っていただけると嬉しいです><フィクションではありながらもリアリティは追及したいと、この作品がまだ漠然としたイメージだったころからありました。私にしか伝えることができない兄さんの話であればなぁと^^ (2014年4月11日 20時) (レス) id: 6a9bdfd1d2 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 3時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)
瞳子(プロフ) - 今回のお話は何だかジーンと来たというか・・・こういう描写は変な話、経験された方じゃないと書けないところではあるかなと思いました。 ヒョクちゃん推しでしたが、兄さんとの空気感がとても良かったですぅ。 (2014年4月8日 2時) (レス) id: 5c0954decf (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 6章お疲れちゃん!!いよいよ、佳境だね~。しかし、ホントにぎゅったんは、ヒョン想いのイイ子だわ(о´∀`о)好きになりそー(笑)後ひと踏ん張り!!兄さんと「あたし」が、幸せになれますよーに、お願いしますよ(笑) (2014年4月8日 1時) (レス) id: 81aea6774b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/  
作成日時:2014年3月18日 0時

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