BE THERE vol.6

ハリボテの王子様-EH ページ21

さっき見てきた、リトルマーメイドの歌のショー。
俺がわりと最近、あれのアニメ見て泣いちまったせいもあるのかな。
言葉とかはあんまよくわかんなかったけど、なんか感動した！


見終わってもまだその興奮が醒めやらない、ガキみたいな俺。
そうだ、あの劇場の近くのワゴンでアイス売ってたな。
貝殻の形したプラスチックのケースに入ってるやつ。
あとで喉が渇いたときにでも買ってみるかぁ〜旅の思い出にもなるしさ。


そんなことを思いながら、パーク内をてくてく歩いていると―


EH「あ・・・」

DH「さっきの王子様だ〜＾＾」

SM「ｴﾘｯｸだよ。ﾄﾞﾝﾍ＾＾」


王子様のわりには、あんまり王子様王子様してない格好で。
そういうところは好感湧くけど〜でもすっげーイケメン、の。
ｴﾘｯｸがそこにいた。


EH「・・・」


その姿を見つけて群がってくる、ちっちゃな子どもたちを抱き寄せたり。
その頬にキスしたり、記念写真に写ってやってたり。
俺たちがよくやるファンサービスみたいなことをしていて。


だけどあまりにスマートで徹底された、その王子様っぷりを。
なんとなく眺めてしまう。


俺がどんなになりたくてもなれなかった―人魚姫の王子様。
ｲｪｿﾝﾋｮﾝは・・・今頃もうAに会えたのだろうか。
Aにとっての王子様に―ﾋｮﾝはなるんだろうか。


なーんてな。
これまたなんとなく・・・そんなことを思ったら。


EH「・・・ぶっ(笑)」


うっかり吹き出していた(笑)


王子様？あのｲｪｿﾝﾋｮﾝがかぁ？
マイワールドで、ボーーっとしててさ。
新幹線の切符も一人じゃ買えねーよーな人が、王子様って。
ヤッベ。笑えるわ(笑)


EH「ないない、ないって！ないわ〜(笑)」

KH「ｳﾆｮｸﾋｮﾝ？ないって何がですか」


俺は、不思議そうなツラした〜リボンつきのネズ耳をつけてるマンネの(笑)
その肩をがっしりと組んだ。


EH「なぁ。お前、王子様ってマジでいると思うか？」

KH「いませんね。そんなもの今どき女の人も信じてないでしょ」

EH「だよなぁ！どんなに気取ったヤツだってバカなこと考えてたり、なんかしらの下心あったりするよな？！」


ここにいる、完ペキな王子様に見えるｴﾘｯｸだって〜きっとそうなんだ。
だからあのｲｪｿﾝﾋｮﾝなんて・・・なぁ(笑)


そう思い至ったら―
ここんとこずっとつかえているようだった胸が。
スっと軽くなった気がした。


これって魔法の国の魔法ってやつ、かもな？

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