BE THERE vol.6

Come with me... ページ16

ｼﾞｮﾝｳﾝさんと二人―
駅と、たくさんの人が行き交うペデストリアンを抜けて。
ｼﾞｮﾝｳﾝさんは街並みをきょろきょろともの珍しそうに見ていた。


だけど、もの珍しいのは〜私も少しだけ同じで。
街並みは以前と変わらないように見えても。
初めて見るビルやお店・・・増えたみたい。


それでも足は迷うことなく―すいすいと進むから不思議で。
ここはやっぱり・・・私がかつて馴染んでいた場所なんだなって実感する。


まず駅前の大通りでタクシーを拾った私たちは。
ここから一番近い警察署に赴いた。
―国外運転免許証を取得するため。


この都市の市内は、こうやって電車や地下鉄、あとはバスが定期的に出ているけど。
あいにく私の実家があった―海のある街は。
このあたりほど交通の便が良くなくって。
動き回るには車が必要だと思った。


YS「へぇ。それがあれば、国外で暮らしていてもここで運転できるのか」

「はい。私もこういう手続き自体は初めてですけど・・・」


警察署で、持参したパスポートや必要書類で運転免許証を即日発行してもらう。
発行されたばかりの私の免許証を、ｼﾞｮﾝｳﾝさんが興味深げに覗きこんできたけど。
顔写真・・・見られるのがなんか嫌だったから(笑)
私はそれをすぐにお財布にしまった。


そのあとは、近くのレンタカー会社で1台のコンパクトカーを借りて。
ここでの運転手は〜ｼﾞｮﾝｳﾝさんじゃなくて。もちろん私。
だけど車の運転・・・かなり久しぶりだからちょっとだけ心配・・・。


私もｼﾞｮﾝｳﾝさんも荷物はあまり多くなくって。
私はこの前海水浴に行ったときの荷物に、わずかばかりの着替えが増えたような。
いつもスポーツクラブに持って行く用のボストンバッグ1個に。
ｼﾞｮﾝｳﾝさんも〜肩に背負っていたデイパックだけだった。


それを、トランクではなく後部座席に載せる。
そして私は運転席。ｼﾞｮﾝｳﾝさんが助手席に回り込んで。
シートベルトを―かっちりと締める。


こうなるまでに、すでにけっこうな時間をロスしてしまって。
もう・・・夕方の一歩手前。


これが―私たちのこの滞在が。
ただ市内の観光や旅行ってことだったら。
こんな手間・・・要らなかった。


だけど。


「それじゃ・・・出しますね」

YS「ああ。頼むな、A」

「・・・」


ねぇ、ｼﾞｮﾝｳﾝさん。
ホントに。
これが―ただの観光だったら。


どんなに良くて。
どんなに私たち、楽しかったでしょうね。

不確かで不自由な真実-YS→←Mermaid Lagoon-EH

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