BE THERE

シニアアイドル-YS ページ10

今はちょうどカムバック活動の真っ最中。
つい先日、俺たちSJのアルバムが発売されたばかりで。


当然のことながら―俺たちはテレビ番組や歌謡祭でのステージなんかで。
メンバー総出で忙しいときでもあった。


俺なんかはわりと・・・仕事のオファーが少ない方なんだが(笑)
他のメンバーはラジオだったり、ミュージカルだったり、別ユニットでの活動だったり。
それこそこういうカムバックのときくらいでないと、なかなか顔ぶれが揃わない。


ま、俺たちは―アイドルはアイドルでも。
ただのアイドルじゃない。


マルチエンターテイメントグループ、とは。
誰が言い出してくれたのか知らんが、よく言ってくれたものだな。


LT「ああ〜〜。ダンスしたら、腰が痛くなったぁ・・・」


片手で腰を押さえながら、よろよろっと控室の椅子に倒れこむ―
このグループの最年長・・・ﾄｩｷﾞﾋｮﾝ。


こういうのを見ると。
まぁ・・・アイドルというには。
俺たちも妙齢だよな(笑)


SM「だ、大丈夫ですか；」

DH「あはは。ﾄｩｷﾞﾋｮﾝ、じじくせーの＾＾」

LT「ほっといてくれよ、ﾄﾞﾝﾍ・・・。それにｲｪｿﾝも〜なんだ、その顔は。
さては自分が今日、調子良かったからって僕のこと笑ってるんだろー」


歌番組の出演で、アルバムのリード曲を歌ってきて。
俺は衣装を脱ぎながら、ﾄｩｷﾞﾋｮﾝのそんな言葉に改めて笑った。


YS「ﾋｮﾝには調子良く見えたのか？俺＾＾」

LT「なんかいつもよりのびのび歌ってただろ、お前」

YS「んーー。そうかも」


失恋したての俺。
そんな気分を仕事に持ち出すのは、プロとしてあるまじきことだとは思うが。


だけど、今日のステージは。
気分がふさぐどころか、ﾄｩｷﾞﾋｮﾝの言うとおり気持ちよく。
伸びやかに歌えた―ような気がする。


HC「聞いたぞ。お前、別れたんだってな？あのメンドーそうな女と」

YS「んーー？ああ」

HC「足枷が取れて良かったじゃねーかよ＾＾」

YS「ハハ・・・」


足枷、だなんて。
ﾋﾁｮﾙﾋｮﾝ・・・嫌な言い方するよな。
だけどまぁ―あながち間違ってないのかもしれない。


別れて、自由の身になった気がするなんて。
もとより彼女のことを―愛してなんかなかったんだな。


いいんだ、別にこれで。


俺には恋とか女はなくとも―歌がある。
それでいいじゃないか。
俺はそんなことを思っていたもんだから。


自分がこの夏―
ひとつの恋に落ちてしまうことなんて。
想像すらしてなかったよ。

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