BE THERE

お仕事モード ページ45

海に行ったあの日から。
ふわふわとした雲みたいなあの人と、不思議な遭遇をしたあの休みからは。
1週間ほど仕事に出ずっぱりだった。


といっても、自分の時間が全く無かったわけではなくて。
夜勤明けは相変わらずプールに泳ぎに入ったり、語学の勉強したり。
日勤の日の夜は〜テレビも前より見るようになっていた。


テレビなんて今までほとんど見ないか、見てもせいぜいニュース番組くらいだったのに。
今は気まぐれにだけど、音楽番組なんかも見たりして。
そこには必ずといっていいほど―SJが出演していた。


私がこの国に来て、一番最初に買ったCDアルバム。
あれ、発売されたばかりなのか大人気みたい。


「最初に買った」ってくらいだから〜実はあれからちょこちょこSJのバックナンバーのCDを買い足してしまったりして。
色々聞いてみてからわかったけど、SJって。
アイドルアイドルした歌ばかりじゃないんだね。


特にバラードなんかは、歌詞もメロディーも胸に染み入るようなものが多くって。
今まであまり思いつかなかったんだけど〜こうして歌を聞くのも。
この国の言語に親しむ勉強になるなと思った。


それにしても、どうして韓国のアルバムのジャケットってあんなに大きいんだろ(笑)
アルバムごとに大きさも形も不規則で〜。
ちょっと・・・置く場所に困るんだよね(笑)


だけど、間違いなく私の生活には。
SJや―ｼﾞｮﾝｳﾝさんの歌声なんかが入り込んできていて。


だからといって。
彼の連絡先に電話を入れるだなんて―分不相応なことも当然してはなかった。


「よしっと！今日も行ってくるね」


オーディオプレーヤーのイヤホンを耳にして、チェストの写真立てをちらっとだけ振り返る。


音楽を聞きながら通勤するのが、今や日課になっていた私は。
今日は明るくてポップな歌を選曲して。
これから仕事に出るっていうのに、軽やかな気分で家を出た。


＊


「おはようございます」


きちんと制服に着替えて。
お気に入りのヘアクリップで、お仕事モードに髪も束ね上げて。
病院の受付に顔を出す。


受付といっても〜今日は外来ではなくて、入院患者さんが多くいる病棟の方での勤務だった。
こっちの人数が少ない時は、外来からよくこうやって回されることがあるんだよね。


「来てもらって早々で悪いんだけど〜200号室の患者さんの転院手続きお願いしていいかしら＞＜」

「はい＾＾」


やることは、今日もきっといっぱいだね―。


うん。がんばろっ。

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