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｢どうしたの、そんな複雑な表情して｣


｢いいえ、なんでもないわよ｣



私は考えていることを悟られないように、なるべく平然を装って返す。



彼はゆっくりと私の腰に腕を回そうと手を伸ばした。


けれど、私はその彼の腕を掴めば思いっきり私の方へ引き寄せ｢何も持っていないはずの方の｣腕も同時に掴む。



彼は笑顔を崩さぬまま、私を見つめた。
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この笑顔さえも嘘なのだろうか。


彼の気持ちが読めない。


ぐるぐると頭の中を回り始めた思考から抜け出すかのように、私は声を絞り出した。


｢私を、殺してほしいの｣




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作者名：めらりぽっぷ | 作者ホームページ：　  
作成日時：2017年3月24日 11時

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