9話 ページ9
「…一目惚れか。」
「ある?」
「どうだと思う?しそうな感じ?」
「中島くんはね〜〜………する!」
「正解!」
「やっぱり!」
「ってことは?Aも?」
「私今まで一目惚れってそんなことある?って思ってたんだけど
…実はこの間…」
「まさか。」
「そうなの、一目惚れ、しちゃって。」
「ちょっと待って。さっきの話の流れと関係ある?」
「さっきの話?」
「あ、えっと、ナンパの話」
「あ〜〜〜〜…………」
「ナンパしてきた人のこと好きになっちゃったの?」
「…恥ずかしながら…」
「そう…なんだ。どんな人だったの?」
それから、風磨くんの様子、知っているイメージは大体話した。
ぐいぐい来るタイプというより
一緒にいた友人と飲んでたら相手が勝手にナンパし始めて
偶然、出会った、ということ
割と人見知りそうだけど打ち解けたら
仲良くなれそうなタイプということ
何にそんなに惹かれてるのかわからないけど
ずっと考えてしまっているということ
LINEが来たけど上手い返信が見つからなくて
スタンプだけになってしまって会話が終わってしまったこと
「なるほどね。でもAからは連絡してないんだ」
「そうなの、気まずくて」
「で、向こうからも特に来てない」
「…ぐさっときた〜」
「ごめんごめん、でもそれいつの話?」
「かなり前なんだよね…でも!一回この間、会ったっていうか見間違えかもしれないんだけど」
「見かけたの?」
「そう。あ!!それこそこの間一緒に服買いに行った時」
「あ、渋谷?」
「そう!パルコのとこで待ち合わせしたじゃん」
「あ〜人違いかもって言ってた日の」
「それ!多分本人じゃないかなとも思ったんだけど勇気出なかった」
「そっか。Aはどうしたいの?」
「そうだな〜…」
「俺はあんまりお勧めはできないかな」
「そうだよね…」
「…でも会いたいんだ」
「え!ああ…まあ…?」
「いいなあ〜ずるいなあ」
「??」
「なんでもないよ。でもさあ話戻すけど
Aから連絡とかしなきゃじゃない?こんだけ待って来ないんだし」
「やっぱそうだよね…
…
…
え!!」
「?!どうした、なんかあった?てかA!グラス倒してる!」
「あ!!ごめん!!」
「大丈夫?濡れた?」
「大丈夫、無事!」
「というかどうしたの急に声出して」
「…向かいの席に、いる」
「何?誰が?」
「………私の一目惚れした人」
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作者名:めんだこ | 作成日時:2022年6月5日 7時