31:『の』 ページ5
「ん⎯⎯、樋口ちゃんは何が欲しいんだろう」
「何時も幸せそうですからね、姐さんは」
仕事で使えるような物の方が良いのか、其れともアクセサリーとかの方が良いのか…。デパートのパンフレットを見ながら暫く考えて、アクセサリーを選ぶ事に決めた。
「此処っすね」
「そうだね、何かお洒落かも」
店内に入ると、色々なアクセサリーが並んでいた。定員さんに聞けば、好きな宝石を選んで自分好みに作れるらしい。
立原君に手伝って貰いながら、ピンクと黄色の宝石を選んで髪飾りにして貰った。樋口ちゃんは良く髪を束ねているから、きっと似合うと思う。
「お会計行って来るね、ありがとう」
「いや……ただ手伝っただけっすよ。でも良かったです」
「うん!」
お店の外で待ってて貰って、レジに並ぶ。と、待っている間にふと見た1つのアクセサリーに目が奪われた。
淡いオリーブ色の宝石だった。光の当たり方で色が変わるように見える。そんな宝石とパールを散りばめたブレスレット。
「お次の方どうぞ」
はっとして見ると、順番が来ていた。ブレスレットも手にして、樋口ちゃんのと同じようにラッピングして貰う。
何故か胸がドキドキしていた。
お店を出ると、立原君は手にペットボトルを手にして待っていてくれた。
「他に行きたい所はあります??」
「其れが…あまりこうやって出掛けないから分からなくて……。オススメ…みたいなのある??」
「オススメ……か。あ!!観覧車?あれは有名ですよね」
「そうなの??じゃあ乗ってみたい」
マフィアのビルの外から良く見るけれど、実際に乗ったのは数える程しかない。
途中でクレープを買って(立原君に奢って貰ってしまった。でも、この前の拉麺のお返しだと云ってくれた)、食べ歩きながら時々ふらっと立ち寄ってゲームセンターでゲームをしたり、公園の噴水で子供みたいにはしゃいだ。
そうこうしてるうちに、何時の間にか5時を過ぎていて夕焼けを見ながら観覧車に乗った。
「広い……」
ヨコハマは凄く広かった。何時もマフィアから見ている筈だけれど、其れはただ見下ろすだけだったから。
同時に眩しかった。
「Aさん」
目の前に座る立原君は突然云った。
窓から顔を離して立原君を見ると、笑っていた。
何故か其の笑顔から目が離せなかった。
優しくて
温かくて
自然と笑みがこぼれ落ちた。
席を立った立原君がそっと抱き締める。
其の儘お互いの唇を合わせた。
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (10月30日 21時) (レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア!!!おめでとうございます🌸立原!よくやったな!!(笑) (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです!!文才ありまくりです!!その文才を下され((結論・この作品大好きです!!更新楽しみにしています!! (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mei | 作成日時:2023年9月18日 10時