62：『に』 ページ35
何か暖かいものに包まれているような心地がする。
｢ん……朝か｣
目を覚ませばソファの上に居た。まだ酔いの影響が覚めていないのか、頭が痛い。隣にはAがまだ規則正しく寝息を立てていた。
｢朝が弱ぇのは変わんねぇんだな｣
其の白髪に手を通すとさらさらで、ぐいとAを引き寄せる。それでも未だAは起きない。
｢良かったな…立原と付き合ってんだろ?｣
Aは聞いていないのに、1人つぶやく。
勿論、聞かされていなかった事は悔しかったがあれ程人間に怯えていたAが、誰かを好きになるなんて思わなかった。
良かった、と思った。
｢ま、寂しかったけどな｣
太宰はどう思ったのだろうか。彼奴はずっとAが好きだったように思う。
ん??何で知ってるかって?まぁ、太宰は分かりやすい所があったしな。
太宰の相棒でありAの兄である俺の勘だ。
だから泣いていたのか、と思う。太宰はAの隣に居なくても居られない奴だ。
でも俺はAの隣に居れるのに、突き放していた。
そりゃあ太宰もブチ切れるよな。
もぞもぞと動いたのを見て、Aが起きた事を悟った。
｢A｣
｢……ん、朝…｣
｢ほら、起きろ。鏡花が来るんだろ。準備して待っとけ｣
｢んー｣
ボスッと音を立ててAはまた毛布に顔を埋める。其の儘寝てしまうと思ったが、｢鏡花｣と聞いて仕方なく起きたようだ。のろのろと洗面所に歩いていく。
｢さて、朝飯でも作るかな｣
鏡花が雑煮を持ってくる、と云っていたから少し少なめにした方が良いだろう。パンを焼いて、昨日買ったレトルトのコーンスープを取り出す。
丁度ハムエッグが出来た時、まだぼやけているAが出て来た。
｢眠い…｣
｢ほら、食っちまえ。食べりゃ起きるだろ｣
よたよたと椅子につくAの正面に俺も座った。
｢｢いただきます｣｣
ゆっくりと口に運んでいくAを見ながら手帳を開く。来週からは出張だ。今度は北の方に行かなければならない。
何時帰れるのかも分からない。
｢なぁA｣
｢出張?首領から聞いたよ。今回も遠いんでしょう｣
｢……よく分かったな｣
｢何となくね、見てたら分かるよ｣
スープを飲み干したAは椅子から立ち上がった。
｢ご馳走様｣
｢ちょっと待っとけ。直ぐ支度する｣
｢うん｣
食べ終えたAは何時ものAに戻っていた。
俺は少しだけ寂しく思ってしまうのだ。
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (10月30日 21時) (
レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア！！！おめでとうございます🌸立原！よくやったな！！（笑） (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです！！文才ありまくりです！！その文才を下され((結論・この作品大好きです！！更新楽しみにしています！！ (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei | 作成日時：2023年9月18日 10時
