57：『な』 ページ30
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｢『怖い』…か｣
空いたラムネの瓶を指で弾く。カラン…と音が鳴るのをただただ楽しんでいた。
｢どうかしたかい、乱歩さん｣
ラムネの瓶を持った与謝野さんが隣に腰掛ける。毎年恒例の飲み会には、賢治と太宰以外の社員が揃っていた。賢治は故郷に帰ると云っていて、太宰は……まぁ、あの様子じゃ飲める訳無いな。
｢いやぁ〜ちょっとね｣
｢まァ大体察しはつくさ。太宰の事だろ??｣
｢当たり!流石与謝野さん｣
｢ずっと乱歩さんと居るからねェ。ちょっとは賢くなったもんだよ。まだまだ乱歩さんには追いつかないけどね｣
ポンッとラムネの軽快な音が鳴る。
太宰の言葉が蘇った。
『好きな子が自分じゃない人と結ばれたらどうしますか』
『その子がもう直ぐ死ぬとなったらどうしますか』
『乱歩さん、私には何が出来ますか』
分からない、と率直に云った。
だってこれは僕があれこれ云える話じゃない。
太宰の7年の片想いに、簡単に諦めろとも頑張れとも云えないだろう。
｢太宰なら、何か策を練って取り返すとでも思ったけどね｣
｢やりかねないけど……。まァ、そうしなかったのにも訳があるんじゃないのかい??｣
｢与謝野さんの云う通りかもね｣
口にスナック菓子を放り込む。
椅子から落ちそうなくらいに伸びた。
｢太宰も大変だねぇ〜｣
✯✯✯
｢……Aさーん｣
｢立原君!!｣
ベットから飛び降りると抱き締めてくれた。人影を疑いながら屋上を目指す。
｢本当に大丈夫ですか…??見つかったら……｣
｢大丈夫!!クビにはされないよ｣
屋上に出ると、だんだんと空が赤く染まっている頃だった。端まで駆け寄って、海の向こうを見渡す。
｢初日の出だ……綺麗｣
手を繋いだまま、2人で初日の出を眺める。不意に立原君が両手を合わせたので私もそうした。
皆が死にませんように。
樋口ちゃんの想いが伝わりますように。
姐さんの仕事が少し減りますように。
光莉達が強くなれますように。
立原君とこれからも一緒に居れますように。
治の自 殺が今年1年も失敗しますように。
｢それから…｣
兄さんに知られませんように。
少しでも長生き出来ますように。
｢Aさん｣
｢……??なぁに、立原君｣
顔を見合せて笑う。
｢来年も見ましょう、約束です｣
目を見開いた。それからふっと笑う。
｢そうね。約束しよう｣
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (10月30日 21時) (
レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア！！！おめでとうございます🌸立原！よくやったな！！（笑） (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです！！文才ありまくりです！！その文才を下され((結論・この作品大好きです！！更新楽しみにしています！！ (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei | 作成日時：2023年9月18日 10時
