56：『は』 ページ29
｢本当に……良かった…で、す｣
｢な、泣かないで…｣
さっきからベットに縋り付くようにして顔を埋めている。其の頭に触れると、彼の身体が大きく跳ねた。
彼の瞳が真っ直ぐ見つめてくる。
｢無茶しないでください。約束ですよ!!｣
｢うん。ありがとう｣
ふと、カレンダーを見ると明日から新年だった。
｢忙しかっただろうな。申し訳ない｣
枕元の棚に置かれていた携帯を手にして、確認するといろんな人から連絡がきていた。紅葉の姐さんや広津さん、芥川さんに光莉達。
兄からの連絡は無かった。
｢馬鹿らしい｣
少し自惚れていたのかもしれない。少し前のようになれたからって、声をかけて貰えたからって。
もう戻れないのに。
小さく呟いた声は、風に乗って消えてしまった。
✯✯✯
｢太宰さん、太宰さん｣
敦君の声で、我に返ると皆の視線が突き刺さった。どうやら集中出来ていなかったようだ。
｢すみません。大丈夫ですよ｣
｢……そうか｣
其の後もろくに話なんて聞けていなかった。年末年始の業務についてだろうから、敦君か誰かに尋ねればどうにかなるだろう。
｢太宰、少し良いか｣
ぼんやりと椅子に腰掛けていると、乱歩さんが声を掛けてきた。
｢はい……??｣
｢話がしたい。ちょっとこっち!!!｣
｢え、あ…｣
｢与謝野さん医務室借りるねー｣
引きずり込まれるようにして医務室に入ると、ベットに座らされた。乱歩さんは向かいの椅子に腰掛ける。
｢ら、乱歩さ……｣
｢何時から寝ていない??｣
は?と間抜けな声が出る。急に立ち上がった乱歩さんは、私の目の下をなぞった。
｢隈が酷いよ。ずっと寝ていない……いや、
｢……はは、お見通しですか｣
確かに最近は眠れなかった。布団に入ってみるが、目は覚めるばかりで。だから、最近の夜は殆どヨコハマの異能力者について調べていた。
｢飯は食ってるのか｣
｢……いや、食べれてないですね｣
誤魔化しても乱歩さんには気付かれてしまうだろうから、正直に云う。食べようとはしている。でも、身体が受け付けないのだ。マフィアに居た時のように。
｢太宰｣
｢…………｣
｢太宰｣
｢…………怖いんですよ｣
絞り出した声は酷く震えていた。
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (10月30日 21時) (
レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア！！！おめでとうございます🌸立原！よくやったな！！（笑） (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです！！文才ありまくりです！！その文才を下され((結論・この作品大好きです！！更新楽しみにしています！！ (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei | 作成日時：2023年9月18日 10時
