48:『の』 ページ21
「おや、読みが外れたみたいだ」
まだ眠っているお姫様の額の汗を拭き取ると、椅子に腰掛ける。段々と呼吸が荒くなっているのは、熱のせいだろうか。
「A、君は何時も私の予想を超えてしまうのだね」
人間に怯えていた君が、
自分の持つ力を知らなかった君が、
真っ直ぐで綺麗な心の君が、
マフィアに君が入るなんて、
君が片目を失うなんて、
闇の中で生き続けるなんて、
幹部補佐にまで上り詰めるなんて、
もう直ぐ死んでしまうなんて、
そんな事思わなかった。
「他の誰かと結ばれるなんて思わなかった」
ねぇ、知っているかいA。
私はずっと君が好きだったのだよ。
私がマフィアで君が羊として出会ったあの時から。
濁った瞳の中で過ごして飽きていた私は、
Aの瞳を見た瞬間に直ぐに堕ちた。
今まで沢山の女性を堕として、騙して、殺してきた。
君だけは私に堕ちてくれなかったね。
でも、届かなくても隣にAが居れば良かった。
君が生きる理由になっていた。
だから私は君を誘った。
織田作が死んで私がマフィアを離反しようと思った時、
一緒に来ないかと私は君の手を取った。
其れは私の我儘だった。
隣で笑って欲しかった。
でもね、織田作の願いでもあったんだよ。
『Aは此方側に居るべきでは無い』
そう織田作が云っていた。
私が一緒に来て欲しい、と云う想いもあったけれどね。
ベットの中のAの手を取った。
「ねぇ、A」
⎯⎯⎯⎯愛しているよ。
そして、そっと口付けをする。
例え君が他の誰かを好きになっても。
「私の想いなんて……消してしまえるから…さ、」
君の幸せを邪魔してしまうのなら。
こんな私なんかの恋心は直ぐに壊してあげるよ。
「……A。好きだよ、この世で1番」
目から涙が溢れ出す。
嫌だなぁ…泣くなんて情けない。
其れでも止められなかった。
ベットに縋りついて咽び泣いた。
「A……A!!」
この姿を見たら君は何て云うだろうね。
でも、ほんの少しだけ泣かせてくれないかい??
明日からまた頼れる太宰さんで居てあげるからさ。
だから今日だけは、
今日だけでも。
「愛してる。だから幸せになるんだよ、良いね」
✯✯✯
これは、1人の少女の物語。
でも其れは、
1人の涙の物語でもあり、
1人の葛藤の物語でもある。
太宰治にとってこの物語はきっと
×××××の物語なのであろう。
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (10月30日 21時) (レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア!!!おめでとうございます🌸立原!よくやったな!!(笑) (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです!!文才ありまくりです!!その文才を下され((結論・この作品大好きです!!更新楽しみにしています!! (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mei | 作成日時:2023年9月18日 10時