検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:13,087 hit

48:『の』 ページ21

「おや、読みが外れたみたいだ」

まだ眠っているお姫様の額の汗を拭き取ると、椅子に腰掛ける。段々と呼吸が荒くなっているのは、熱のせいだろうか。

「A、君は何時も私の予想を超えてしまうのだね」

人間に怯えていた君が、

自分の持つ力を知らなかった君が、

真っ直ぐで綺麗な心の君が、

マフィアに君が入るなんて、

君が片目を失うなんて、

闇の中で生き続けるなんて、

幹部補佐にまで上り詰めるなんて、

もう直ぐ死んでしまうなんて、

そんな事思わなかった。


「他の誰かと結ばれるなんて思わなかった」


ねぇ、知っているかいA。

私はずっと君が好きだったのだよ。

私がマフィアで君が羊として出会ったあの時から。

濁った瞳の中で過ごして飽きていた私は、

Aの瞳を見た瞬間に直ぐに堕ちた。

今まで沢山の女性を堕として、騙して、殺してきた。

君だけは私に堕ちてくれなかったね。

でも、届かなくても隣にAが居れば良かった。

君が生きる理由になっていた。

だから私は君を誘った。

織田作が死んで私がマフィアを離反しようと思った時、

一緒に来ないかと私は君の手を取った。

其れは私の我儘だった。

隣で笑って欲しかった。

でもね、織田作の願いでもあったんだよ。

『Aは此方側に居るべきでは無い』

そう織田作が云っていた。

私が一緒に来て欲しい、と云う想いもあったけれどね。

ベットの中のAの手を取った。

「ねぇ、A」





⎯⎯⎯⎯愛しているよ。





そして、そっと口付けをする。

例え君が他の誰かを好きになっても。

「私の想いなんて……消してしまえるから…さ、」

君の幸せを邪魔してしまうのなら。

こんな私なんかの恋心は直ぐに壊してあげるよ。

「……A。好きだよ、この世で1番」

目から涙が溢れ出す。

嫌だなぁ…泣くなんて情けない。

其れでも止められなかった。

ベットに縋りついて咽び泣いた。

「A……A!!」

この姿を見たら君は何て云うだろうね。

でも、ほんの少しだけ泣かせてくれないかい??

明日からまた頼れる太宰さんで居てあげるからさ。

だから今日だけは、

今日だけでも。

「愛してる。だから幸せになるんだよ、良いね」

✯✯✯

これは、1人の少女の物語。

でも其れは、

1人の涙の物語でもあり、

1人の葛藤の物語でもある。

太宰治にとってこの物語はきっと

×××××の物語なのであろう。

49:『な』→←47:『る』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
158人がお気に入り
設定タグ:太宰治 , 中原中也 , 立原道造   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (10月30日 21時) (レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア!!!おめでとうございます🌸立原!よくやったな!!(笑) (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです!!文才ありまくりです!!その文才を下され((結論・この作品大好きです!!更新楽しみにしています!! (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mei | 作成日時:2023年9月18日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。