47:『る』 ページ20
「其れで話と云うのは?まぁAの事でしょうけど」
示された椅子に座ると、見慣れていた上質なカップに入った紅茶が置かれる。ただ、其れに口を付ける事はせず目の前の森を睨んだ。
「聞いているのだろう?あの子はもう永くない」
「……随分落ち着いていますね」
「そうかい??これでも結構焦っているのだよ」
分かるだろう?と目を向けられる。分からないはずが無い。マフィアに居るならば分かりきっている事だ。
Aの力がどれ程大きいのか、なんて。
「Aの希望は??」
「最期まで組織に尽くすそうだよ、そう話していた」
「Aらしいや」
「本当だよ、あの子は頑張り過ぎた。精神も不安定な中でね」
「………中也の事か」
悩むとすればそこだろう。Aも少しずつ頑張っているらしいが、果たして頑固で意地っ張りで小さな中也が素直になれる訳が無い。
「あの馬鹿は…何か云ってる??」
そろそろ敬語も飽きてきた。
「特に何も云ってはいないよ。Aちゃんにも云わないで欲しいと頼まれたからね」
「云ったら殺しますから」
「そんな怖い目で見ないでおくれ」
「Aを傷付けるものは私が許さない」
もう繰り返したくない。
Aに危険があるならば、
私が全て排除する。
其の為ならまた手を汚しても良い。
紅茶に口を付けながら森は云った。
「太宰君は本当にAちゃんが好きだね〜」
なんて無い其の言葉がグサリと心に刺さる。
何も云い返す事が出来ず、視線を下に向けた。
「……………」
「太宰君…??」
「だったら何?私がAを好きと云う事に問題でも?」
「え……本当なの?」
自分で云っておいて何を云うのだろうかこの人は。
「…そうですよ」
ガシャンとカップが割れる音がする。直ぐに人が飛んできて片付けて行った。
「……そうかい」
「叶わないと知っていますけどね」
「おや、何故そう思う?」
嗚呼、やっぱりこの人は性格が悪い。
普通は云わせるものなのだろうか。
「Aは私の事を恋愛感情の目で見ていない。Aが唯一そう見ているのはあの子だけだ」
「瞳だけで判断するのかい?合理的で無いと思うが…」
「恋愛に合理的も何もありませんよ。人の心ですから」
居心地が悪くなったのと、そろそろAが起きるだろうと思い椅子から立ち上がる。
「また何かあれば教えてください。敵味方など関係ない」
「分かっているよ」
部屋から出ると一気に疲労が襲いかかる。
君が羨ましいよ。
「ねぇ、立原君」
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (10月30日 21時) (レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア!!!おめでとうございます🌸立原!よくやったな!!(笑) (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです!!文才ありまくりです!!その文才を下され((結論・この作品大好きです!!更新楽しみにしています!! (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mei | 作成日時:2023年9月18日 10時