42:『そ』 ページ16
会合を終えて報告書を提出し、時計を見れば7時を回っていた。1週間後の任務の作戦設立案はもう終わっている。手持ち無沙汰な今、何をしようかと考えた。
「あ…訓練しようかな」
椅子から降りて錠剤を飲んだあと、部屋から出た。
マフィアには訓練室が幾つかある。普通の構成員が使うもの、黒蜥蜴専用のもの、そして私が使うような首領から認められて使えるもの。
見たところで対して変わらないのだけど、性能が上にいくにつれて上がっていく。
「最近動いてないし…鈍ってるかも」
「そんな事は有りませぬ」
「……芥川さん」
隣に並んで歩きながら訓練室を目指す。
不意に芥川さんは云った。
「聞きたいのですが…Aさんの師匠は誰なのですか」
「私の師匠……??」
芥川さんで云えば太宰さん、みたいな事だろうか。
「首領…かな」
「首領自らが??」
「そう。戦術も体術も、この世界で生き残るための事全部は首領から教わった」
マフィアに入った日、兄は姐さんの所へ私は首領の所に属する事になった。其の時はまだ何故首領が私の面倒を見てくれたのか分からなかった。
聞いても彼はこう云うだけ。
『太宰君と同じ雰囲気を感じたから』
そんな事ない、と思う。でも同じような事を太宰さんも云う。『私と君は似ているね』なんて、どう云う意味なのかさえ分からない。
そもそも私は太宰さんが良く分からないから。
「Aさん、手合わせお願い出来ませんか」
「良いよ、やろうか」
部屋に入り、先ずは明かりを少し暗くしてお互い位置に付く。
異能はアリ、武器はナシ。
「羅生門!!!」
彼の黒衣が牙となって襲いかかる。
其の儘私は前に飛んだ。
羅生門を避けながら芥川さんの腕を狙う⎯⎯⎯⎯
フリをして足を蹴り飛ばした。
「ッ!!」
でも其れは読まれていて、彼は残っていた羅生門で足を強化していた。
直ぐに羅生門も再生される。
ちょっと近いな……。
「異能力ー早風の春」
異能で自分自身に風を当てて後ろに跳ぶ。
と、右腕に圧迫感を感じて目線をずらした。
羅生門が腕に絡まっている。
拘束して仕留める気だろうか。
「でもね…」
グイッと右腕だけを後ろに下げる。
同時に崩れるのは芥川さんの身体。軽く浮いた彼の身体に当たるように上昇気流を発生させる。
其の儘天井に打ち付けた。
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (10月30日 21時) (レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア!!!おめでとうございます🌸立原!よくやったな!!(笑) (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです!!文才ありまくりです!!その文才を下され((結論・この作品大好きです!!更新楽しみにしています!! (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mei | 作成日時:2023年9月18日 10時