39：『し』 ページ13
｢おはようございますA様……と、中原幹部??｣
何時もの待ち合わせ場所に今日は兄と2人で行った。朝、兄の送り迎えを担当している方が体調不良で休まれたらしいと連絡があった。
兄は歩いていくと云ったが私は其れを止めた。
護衛も無しに歩いていたら何があるか分からないから。
｢おはよう、小林さん。今日は2人で乗っても良いかな｣
｢勿論ですよ、後ろに乗ってください｣
｢頼むな｣
ちらりと小林さんがミラー越しに私を見る。『大丈夫ですか?』と目で心配していた。小さく頷いた私を見て、彼も頷く。そうしている間に車は走り始めていた。
｢………｣
無言のまま時が過ぎる。
何もする事が無いから窓の外を見つめる事にした。
目に飛び込むのはまだ溶けきっていない雪、通勤や通学する人々、南の方へ飛んでいく渡り鳥。
ふと目に入ったのは、仲良く手を繋いで登校している兄妹。恐らく小学生くらいだろう。何を云っているかは聞こえないけれど、楽しそうだった。
｢良いな…｣
普通の子だ、と思った。
まだ闇を知らない幼い子。
出来れば其の儘知らずに死んで欲しいけれど、ヨコハマと云う地に住んでいる以上其れは避けられないだろう。
｢着きました｣
気が付けばマフィアの建物まで来ていた。車を降りると外の寒さに鳥肌が立つ。
｢今日もありがとう｣
｢急に悪かったな｣
｢いえ、仕事ですから。それでは失礼します｣
去っていく車を見つめた後、仕事場に足を踏み入れた。兄と別れてエレベーターへのボタンを押す。今日は午後から会合だから、服を変えなければいけない。其れから昨日の報告書も渡して……
考え込みながらエレベーターに乗る。其の儘ボタンを押そうとした時、目に入ったのは立原君だった。
｢あ……立原君｣
｢Aさん!!俺も乗ります!!!｣
滑り込みながらエレベーターに乗った立原君は大きく肩で息をしていた。
｢大丈夫?｣
｢急に首領から来いって云われて……何かやらかしましたかね…俺……｣
｢多分大丈夫だと思うけど。処刑にはならないよ｣
勘弁してくださいよ……と項垂れる立原君が流石に可哀想になってきた。不安になるのも当然だろう。首領自らのお呼び出しなのだから。
そうしているうちに、最上階まで着いていた。暗い廊下に光が通り、明るくなる。
｢首領、Aです｣
｢立原です。失礼します｣
扉を開けると目に入ったのは首領だけだった。
其の途端に全部察した。
｢あ…｣
ちょっとやばいかも……
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (10月30日 21時) (
レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア！！！おめでとうございます🌸立原！よくやったな！！（笑） (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです！！文才ありまくりです！！その文才を下され((結論・この作品大好きです！！更新楽しみにしています！！ (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei | 作成日時：2023年9月18日 10時
