37：『し』 ページ11
風呂から出ると丁度帰ってきたAと一緒になった。直ぐに目を逸らしたAは相変わらず俺より背丈が大きい。
｢ッ…あ、あの……｣
｢おかえり｣
何か云おうとするAを遮って俺は云った。下を向いていたAの顔がゆっくりと上がる。
｢早く風呂入って来いよ。まだ入ったばっかだから｣
｢あ……はい!｣
部屋に駆けて行ったAを見送りながら、掛けていたエプロンを手にして台所に立つ。冷蔵庫を見て献立を考えると、パスタなら作れそうだった。
｢俺も食うか｣
俺は既に食べていたが、Aは1人じゃ食べにくいだろう。軽めに食ったから大丈夫か、と呟いて材料を手にした。
其れにしても久しぶりな気がする。ここ1年半くらいはAと2人で食べる機会は無かった。其れも全部自分のせいなのだが。
そんな事を考えながら調理していると、浴室の扉が開いてAが顔を覗かせた。
｢上がったか｣
｢はい…何か手伝います｣
｢ん、もう直ぐ出来るから座ってて良い｣
小さく頷いて椅子に腰掛けたAは、ぼんやりと何も無い机を見つめていた。時々、何か思い出しては唇を噛み締めて、其れからじっと俺を見る。
｢ッ!!……｣
Aの紫色の瞳が俺を映す度に、目を逸らしてしまう。
だってあのAの目の色は、ニセモノだから。
｢……出来た。こんくらい食えるか｣
｢あ、はい。大丈夫です｣
Aの目の前の椅子に自分も腰掛けて手を合わせる。
｢｢いただきます｣｣
口に運びながら、気付かれないようにAを見る。やっぱり少し痩せた気がするのは気のせいだろうか。
｢美味しい……｣
｢そっか…良かった｣
黙々と手を動かして口に入れる。
目の前のAも同じ事を繰り返していた。
沈黙には耐えきれなかったが、何を話せば良いのか分からなくて何も出来なかった。
｢A｣
｢…何でしょう｣
嗚呼、まだ元には戻れていないな、なんて。
｢仕事は順調か｣
｢はい。明日は任務ですが、其れ以外は変わりありません｣
｢そうか……俺は明後日だったな｣
｢D社の壊滅ですか?｣
｢嗚呼、今回は単独壊滅だな。Aは?｣
｢私は会合です。傘下が取引について再度確認したいと｣
｢傘下か……奴らは最近落ち着いているな｣
｢そうですね。反乱も無くて…｣
気が付けば時刻は11時を過ぎていた。Aが席を立ったので俺も立ち上がる。
｢あの…
振り向いた俺にAは云った。
｢少し手伝って頂けませんか｣
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夏菜子(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (10月30日 21時) (
レス) @page27 id: 7ba2b47e72 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ星(プロフ) - キャアアア！！！おめでとうございます🌸立原！よくやったな！！（笑） (9月21日 21時) (レス) @page4 id: a35decf8bd (このIDを非表示/違反報告)
萩野千紗 別垢 - 凄いです！！文才ありまくりです！！その文才を下され((結論・この作品大好きです！！更新楽しみにしています！！ (9月19日 21時) (レス) @page2 id: 5c4afa8e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei | 作成日時：2023年9月18日 10時
