帰って。 ページ9
智「…Aちゃん。もう遅いし、今日は帰り な？また、時間あるときにゆっくりおいで」
携帯をカウンターに置き、エプロン外しながら私を見る智くん。
声は穏やかだけど、目は真剣だった。
お店の掛け時計を見ると、18時ちょっとすぎ。
大学生にとって、それほど遅い時間ではない。
蒼斗くんのお兄さんのことも気になるし、正直言って、今ここを離れられるほど、私は薄情ではない。
だって、膝の上の蒼斗くんが私の服の裾をぎゅっと掴んで、不安げに私を振り返って見上げているから…。
帰っちゃうの…？って、蒼斗くんの心の声が聞こえてくるんだもん…。
ニノ「…、蒼斗、俺がまたマジックしてやるか ら、こっちおいで。
ほら、おじょーさんも、これ以上蒼斗が懐 く前に帰んなさい。
心配しなくても、後は俺らが何とかすっか ら。ね、大野さん？」
智「…………ニノもだよ。」
A・ニノ「「……ぇ、？」」
智くんの言葉に固まる私とニノ。
潤「ん？何、どうしたの？」
ラフなスウェットから、ジーンズにシャツ、厚めのブルゾンといった、いかにも今から出かけます！というような格好に着替えて戻ってきた松潤。
智「…松潤も。今日はもう帰って。」
潤「………は…？」
言葉を失う松潤。
ニノ「…っ、何でだよ！！！
俺らだって、この店の一員じゃねーの？
それに、蒼斗はどう…
智「なんででも。
松潤とニノのことは頼りにしてるし、こん店 の大事な一員だよ。…でも、今回はダメ。
それと、蒼斗は翔くんとこの事務所に預ける から。」
ニノの言葉を遮った智くんの声は鋭く、どこか冷たく、それ以上誰も何も言えなかった。
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作者名：chantilly miel | 作成日時：2017年2月20日 19時
