6.マレウス×夢の中で会った人 ページ6
マレフィセント2観たい……
★★★
人目につかないような暗い森。ポツリと建てられた古びた小屋。そこに三人の妖精と一人の王女様が暮らす──呪いから王女様を守るように。
あの美しい娘に呪いを掛けたのは僕自身だ。意外に思われるかも知れないが、僕だって怒る時は怒る。
しかも怒りに任せて呪いを掛けてしまった。同席していたリリアには驚かれ、彼の表情は未だに覚えている。
たった今、小屋から現れた少女、ブライア・ローズ。本当の名前を知らずに、本当の身分を知らずに、呪いの存在を知らずに幸せそうに暮らしている。
黄金でウェーブの掛かった髪、薔薇が嫉妬する赤い唇、色白の肌、そしてウエストがキュッと締まった細いシルエット。
彼女が現れたなら僕も登場するとしよう。
「ブライア・ローズ」
彼女に呼び掛けると、ローズは嬉しそうに手を優雅に上品に振る。
「こんにちは、マレウスさん。それから私の名前はAよ」
「おっと、そうだったな」
そう口にして、僕はAに一歩ずつ歩み寄る。そしてお互いに一礼をすると、何か言うまでもなく自然の流れで手を組み、舞踏会のようなダンスを始めた。
「マレウスさんとはいつも夢の中で会うのに、目が覚めたら何処にも居ない。貴方はこの森で暮らしていないのかしら?」
「ああ、僕はここから離れた所に住んでいるんだ」
じゃあ、私の為に会いに来て下さったのね、と慎ましく、だけど可憐に頬を薔薇色に変化させた。
「マレウスさん、歌は好きですか? 宜しければ一緒に踊りながら歌いませんか?」
「是非とも。お前の提案を受け入れよう」
二人は歌い、踊り続けた──彼女が目を覚ますまで。意識を現実に戻した彼女は霧のように姿をくらます。
僕も夢から目が覚め、あの森まで飛行をする。最近の日課だ。セベクは「お供します!」とついて行きたがるが、僕はそれを断った。
さて、もうそろそろ小屋が見えるだろう。木の枝に座るとAの姿を見つけた。不快なことに見知らぬ男も一緒で。
「貴方はもしかして私の夢に現れてくれた人……?」
「そうさ。何度も会っただろう、夢の中で」
──違う
Aは騙されている。違う、あの男ではない。
『死ぬではなく愛する人のキスで目覚めるのです』
──まさか……な
僕が掛けた呪いを上書きした妖精の言葉が脳裏にこだます。
──夢の中で会った人……か
7.ありがとうございます!→←5.ヴィル×アップルパイはいかが?
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石鏡巡(プロフ) - ウィルゴ・パルテノスさん» リクエスト、ありがとうございます! 完成して半年以上経過したこの作品を見つけてくれて、読んでくれてありがとうございます! (2021年4月2日 22時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
ウィルゴ・パルテノス - リクエストでマルフィとオーロラ姫をお願いします (2021年3月14日 7時) (レス) id: fdd18ceb11 (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - モカさん» おお! まさかの雑談を楽しみにしてくれる人がいるとは……! ありがとうございます! また何か面白い出来事があったり、思い出したら書きますね! (2020年5月21日 12時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 最近私も石鏡巡さんの短編集の内容も楽しみですけど、雑談も楽しみになってきてます(笑)すいませんレオナさんのストーリーじゃなくて…。更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月21日 10時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
青イチ(プロフ) - そうです!よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月20日 23時) (レス) id: 019715dd21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:石鏡巡 | 作成日時:2020年5月10日 16時