41.元婚約者×Another Story ページ41
病院の入り口が分からなくて、裏口から入ってしまった……。
★★★
神父による結婚の誓いに関する文章を読み上げる。皆がこの結婚式を見守る中、私は静かに目を閉じた。
そして私は回想を始める。そう、あれはファレナ様の奥様がチェカ様の妊娠を発表したその晩。
「Aよ、お前とレオナ様との婚約の破棄が決定した」
夕食時、唐突に、お父様から告げられた言葉は私の心に酷く重たく
「……え？ 何で……？」
「元々ファレナ夫妻が子を産むまで、という約束だったんだ」
「……い、意味が分からないよ。パパ」
幼かった私は勿論、納得なんか出来ず、質問を繰り返す。お父様はとても困った表情をしたので、私はお母様に「お父様を困らせるのは、やめなさい」と叱られた。
「じゃあ……レオナくんとは形だけの婚約だったってこと？」
「……」
お父様もお母様もこの質問にだけは答えてくれなかった。それもそのはず。レオナ様を利用したことになるから。
王位継承順位が低い第二王子とはいえ、彼は立派な王子。物心が付く前に婚約者が居ても可笑しくない。
私は無言で自分の部屋に戻る。「夕飯は食べなくても宜しいのですか？」と侍女さんに言われたが、食欲は失せた。
部屋に閉じこもり、一枚の写真を手に取る。それはレオナ様と私が無邪気に笑っている写真。
──多分、レオナくんも婚約が破棄されたこと、知っているよね……？
彼が知っていても、知らなくても、どのみち明日からどうやって顔を合わせようか、分からなくなる。
どうすれば良いのか分からなくて、取り敢えずいつもと同じように振る舞った。避けることも考えたけど、それだと何か嫌だし……。
婚約を破棄するなら駆け落ちしてやる！ と、ドラマや物語のようなシチュエーションも考えたけど、お互いにまだ子ども。大人の助けなしに生きていけるとは思えない。
駆け落ちを家族、付きの者たち、そして国民が許してくれるとは思えない。混乱を招くだけで迷惑以外の何者でもない。
それにレオナ様が私のことをどう思っているのか、分からない。
「……新婦Aさん、貴女はチェカ様を末永く愛することを誓いますか？」
神父さんに名前を呼ばれたので、ここで回想をやめた。
「……はい、誓います……」
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石鏡巡(プロフ) - ウィルゴ・パルテノスさん» リクエスト、ありがとうございます！ 完成して半年以上経過したこの作品を見つけてくれて、読んでくれてありがとうございます！ (2021年4月2日 22時) (
レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
ウィルゴ・パルテノス - リクエストでマルフィとオーロラ姫をお願いします (2021年3月14日 7時) (レス) id: fdd18ceb11 (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - モカさん» おお！ まさかの雑談を楽しみにしてくれる人がいるとは……！ ありがとうございます！ また何か面白い出来事があったり、思い出したら書きますね！ (2020年5月21日 12時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 最近私も石鏡巡さんの短編集の内容も楽しみですけど、雑談も楽しみになってきてます(笑)すいませんレオナさんのストーリーじゃなくて…。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 10時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
青イチ(プロフ) - そうです！よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月20日 23時) (レス) id: 019715dd21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：石鏡巡 | 作成日時：2020年5月10日 16時
