36.ヴィル×毒という名の『愛』 ページ36
白雪姫の女王様には本名があるらしいです。グリムハイドだったっけ？
★★★
そして白雪姫はカプリとアタシが差し出した林檎をかじりついた。
「うん、とても美味しくて、甘くて……そして……そして……」
彼女なりに食レポをするが、言葉を続ける前にその場に倒れ込んだ。
そう、白雪姫はクイーンが差し出した毒林檎により命を落とした。
──この林檎にはあのクイーンと同じ毒を使ったから、愛する者のキスで目覚めるんだけど……
窓の外に視線を移すと、あの時の老婆が近付いて来ている。
──あの老婆も同じようにしてくれているかどうか分からないし、もしかしたら本当に殺そうとしてただの毒を入れたのかも知れない
アタシは咄嗟に身を隠し、老婆をやり過ごす。老婆はドアを叩いても返事がないことに疑問を覚え、扉を開ける。すると中には既に倒れている白雪姫が。
彼女の口元に手を当てて、呼吸を確認すると満足そうに高笑いをしながらそのまま帰って行く。
あの人の姿が見えなくなったことを確かめたアタシはAの元へ近付き、彼女を抱えて二階のベッドまで運ぶ。
流石に硝子の棺は用意出来なかったけど、きっとあのコビトたちならこの子を入れてくれるだろう。そう胸に期待をしながら。
ふかふかなベッドに寝かせ、彼女の前髪を整えて、その流れで頬を滑らせる。もちもちとして艶めいた肌触り。世界で一番美しいと言われるだけあるわね。
「白雪姫。アンタが食べた林檎は愛する者のキスで目覚めるのよ」
息をしない彼女に語り掛ける。
「分かっているわ。アタシなんか眼中にないこと」
そしてポツリポツリと言葉を吐く。
「でも、アンタの言う王子は一度会ったきりでしょ？ アタシの方がアンタの元へ何回も訪れた……」
──アンタがその程度で揺らがないってことぐらい、分かっているわよ
──だけど……
──毒林檎には気を付けて、って忠告をしたのに食べちゃうアンタは本当に馬鹿よね……
──けれど、アタシにとってアンタのようなお馬鹿さんは
そしてアタシは少しずつ彼女に顔を近付けた。お互いの唇がくっつく。Aは何の反応も示さないけど、これはアタシのエゴだから構わない。
「愛おしくて、たまらないのよ……ッ」
思っていた通り、白雪姫は目を覚ましてくれなかった。アタシはそのまま小屋を後にして学園へ戻る。
「さようなら、A……」
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石鏡巡(プロフ) - ウィルゴ・パルテノスさん» リクエスト、ありがとうございます！ 完成して半年以上経過したこの作品を見つけてくれて、読んでくれてありがとうございます！ (2021年4月2日 22時) (
レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
ウィルゴ・パルテノス - リクエストでマルフィとオーロラ姫をお願いします (2021年3月14日 7時) (レス) id: fdd18ceb11 (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - モカさん» おお！ まさかの雑談を楽しみにしてくれる人がいるとは……！ ありがとうございます！ また何か面白い出来事があったり、思い出したら書きますね！ (2020年5月21日 12時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 最近私も石鏡巡さんの短編集の内容も楽しみですけど、雑談も楽しみになってきてます(笑)すいませんレオナさんのストーリーじゃなくて…。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 10時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
青イチ(プロフ) - そうです！よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月20日 23時) (レス) id: 019715dd21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：石鏡巡 | 作成日時：2020年5月10日 16時
