14.マレウス×愛だと気付きたくなかった ページ14
『愛だと気付きたくなかった』
この話を読む時に、この言葉を覚えといて下さいね？
★★★
ブライア・ローズが生まれてすぐに彼女は三人の妖精に引き取られた。僕が掛けた呪いから守る為の手段だが、本当にその程度で守れると思っているのだろうか。
あの三人の妖精は今まで魔法を使って何でも出来ていた。だが、自分たちの居場所を知られない為に魔法を封印して、人間のような暮らしを始めた。
勿論それで上手くいくはずがない。料理も洗濯も掃除も裁縫も被服も全て魔法に頼っていた。
──その程度の家事能力でよくAを育てようと思ったものだ
呪いで死ぬより先に死なれたら困る。だから僕はコッソリと魔法を使って彼女たちの手助けをしている。つまり敵に塩を送っているのだ。
今日はAの十六歳の誕生日。三人の妖精は王女の為に張り切って誕生日パーティーを開催するつもりだ。作ったこともないドレス、作ったこともないケーキを手作りするらしい。
「ちょっとメリーフェザー。ピシッと立ちなさい」
「く……苦しいよ、フローリー。そもそもその穴は何？」
「あら、穴がないと脚が出ないでしょ？」
ドレスの裾を作っているようだ。大きなピンクの生地に大きな穴を開けて。
──変わったドレスの作り方だ……
これはこれは。中々面白い。暫く見ていよう。久々に退屈をしなくて済みそうだ。数分後、視線をもう一人の妖精へと移すと、彼女は卵の殻ごとボウルに放り込んでいた。
──ケーキに卵の殻……フッ
こちらも期待を裏切らないな。
「ささ、急いで頂戴。あの子が帰って来る前に」
「ええ、そうね。だってあの子が城へ帰ってしかも王子様と結婚するんだもの」
ケーキ作りをしている妖精が恋バナを語るかのように声を弾ませた。
「そう、一度も会ったことのない王子様とね」
「こら、メリーフェザー。皮肉に言わないの」
フローリーが注意をする。
──ホォ……一度も会ったことのない王子様
そんな人が百年間眠り続けるAにキスをしても愛がないから目覚める訳がない。
──だけど何でだろう……この虚しさは
誰がどう見ても僕の圧勝。
──ああ、そうか。これが……
胸を強く締め付けられるような痛みを無視してこの場を静かに立ち去る。
──Aよ……百年間、お前の夢の中で会い続けてやろう
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石鏡巡(プロフ) - ウィルゴ・パルテノスさん» リクエスト、ありがとうございます！ 完成して半年以上経過したこの作品を見つけてくれて、読んでくれてありがとうございます！ (2021年4月2日 22時) (
レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
ウィルゴ・パルテノス - リクエストでマルフィとオーロラ姫をお願いします (2021年3月14日 7時) (レス) id: fdd18ceb11 (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - モカさん» おお！ まさかの雑談を楽しみにしてくれる人がいるとは……！ ありがとうございます！ また何か面白い出来事があったり、思い出したら書きますね！ (2020年5月21日 12時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 最近私も石鏡巡さんの短編集の内容も楽しみですけど、雑談も楽しみになってきてます(笑)すいませんレオナさんのストーリーじゃなくて…。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 10時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
青イチ(プロフ) - そうです！よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月20日 23時) (レス) id: 019715dd21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：石鏡巡 | 作成日時：2020年5月10日 16時
