1.リドル×好きな色 ページ1
夢に好きな人が出てきたら嬉しいよね？
★★★
夢の中でしか会えない女の子が居る。
ボクはその子の名前を知っているけど、彼女から自己紹介して貰っていないので知らないフリをする。
「また来たんだね、アリス」
「私はアリスじゃないよ？」
軽くウェーブかかった黄金色のロングヘア、空より澄んで海より深い蒼色の瞳。
そして好奇心旺盛で不思議な女の子……初めて夢で会った以来、彼女のことを『アリス』と呼ぶ。
「何の本を読んでいるの？ 前回の本と同じブックカバーだね」
ハーツラビュル寮の談話室で二人きり。何食わぬ顔でちょこんとボクと向かい合って椅子に座る。ここに来ることに慣れたんだろう。
「前回とは違う本さ。あの本はニ日前に読み終えたよ」
「二日前って前回じゃない？ え、もう読み終わったの？」
「そんなに時間掛けて読むような本じゃないからね。さて、アリス。キミに読み聞かせをしてあげよう」
まるで母親が幼い愛娘に寝かしつける時に絵本を読み聞かせをするように、優しく語り掛ける。
「ん〜……」
「おや、どうかしたのかい？」
まだ三ページも読み終えていないが、どうやら彼女は飽きてしまった。
「難しくて全然分かんない。お姉ちゃんが読む本みたい」
気に入ってくれなかったか。それは残念。
「ではどんな本が好きなのか、教えてくれないか？」
そう尋ねてみると彼女は考える素振りを見せる。
「本じゃなくて……貴方の好きな色が知りたい。貴方はいつも自分のことを教えてくれないじゃない」
私のことを知っている癖に、なんて付け足す。念の為に行っておくが、ボクはストーカーなんかではない。
そんな奴はハートの女王の法律以前の問題だね。
「ボクの好きな色……そうだね。それは勿論、ハートの女王のお気に入りの色、あ……」
赤、と言おうとしたが、思わず口を閉ざしてしまった。彼女の瞳がキラキラと輝いている。その瞳に不可抗力に魅入ってしまう。
空より澄んで、海より深い蒼色の瞳。
待ち遠しくなったのか、ボクを急かすようにもう一度、アリスは質問する。
「そりゃ勿論、赤色に決まっているだろう」
もしあの時ボクが『キミの瞳と同じ、蒼色だよ』と言えばキミはどうするんだろう。また会いに来てくれるのか。それとも二度とここに来ないのか。
──アリス……いや、A。夢から覚めてもボクを忘れないで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
石鏡巡(プロフ) - ウィルゴ・パルテノスさん» リクエスト、ありがとうございます！ 完成して半年以上経過したこの作品を見つけてくれて、読んでくれてありがとうございます！ (2021年4月2日 22時) (
レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
ウィルゴ・パルテノス - リクエストでマルフィとオーロラ姫をお願いします (2021年3月14日 7時) (レス) id: fdd18ceb11 (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - モカさん» おお！ まさかの雑談を楽しみにしてくれる人がいるとは……！ ありがとうございます！ また何か面白い出来事があったり、思い出したら書きますね！ (2020年5月21日 12時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 最近私も石鏡巡さんの短編集の内容も楽しみですけど、雑談も楽しみになってきてます(笑)すいませんレオナさんのストーリーじゃなくて…。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 10時) (レス) id: 935a46d4ab (このIDを非表示/違反報告)
青イチ(プロフ) - そうです！よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月20日 23時) (レス) id: 019715dd21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：石鏡巡 | 作成日時：2020年5月10日 16時
