長男×家庭教師�� ページ7
あれから時間が過ぎて夕方になった。窓から見える空の色が暖色系に染まり、趣深く混じり合う。
「今日はここまで。よく頑張ったな」
「ありがとうございました」
蓮は参考書を本棚に戻す。Aは彼の背中に声を掛ける。
「ねえ、ここの最終問題。自力で解いてみてもいい？」
──終わって早々に申し訳ないんだけど……
どうしても試してみたかった。彼の分かりやすい説明を受けると、この難しい問題も解けそうな気がする。
「入試問題レベルだけど大丈夫か？」
Aの背後に回り、右手を机に乗せる。バックハグに近いこの体勢。
包まれていると錯覚してしまいそうで、心臓が騒がしい。
「……うん」
──きっと無意識にそうしているんだ
──意識していたら、こんなナチュラルに近付かないよね？
耳まで紅潮した顔を見られたくない、ただひたすらそう祈りばかり。
──私ばかり意識しちゃって……
何だか悔しい思いが沸き起こった。だけど手を必死に動かして、難解な問題に挑む。
自分が思っていたより数分長引いてしまったが、何とか最後まで書き終えた。
シャーペンを置くと、Aは、
「出来ました」
と言葉を発した。
後ろから見守られたドキドキ感、最後までやり遂げた達成感、その二つが混成する。
相変わらず蓮は真後ろに居るまま、視線で答え合わせをする。
「よく出来たな」
そう残して彼は隣に座り、赤で大きな丸を付けた。
「やった！」
嬉しさの余り、思わずガッツポーズをしてしまう。
「蓮先生！ ご褒美下さい」
反射的に本音が漏れてしまった。しかし既に口から出てしまったそれは取り戻すことが不可能。
「……ご褒美？」
全く予想していなかったのか、彼は両腕を組んで思考を巡らす。
「急にどうした？」
「だって……解けたから」
単純な理由。今のAにはそう答えるのが必死だった。
少女漫画や夢小説などで見掛ける、ドキドキ感を煽らせるご褒美は期待しない。
──ちょっとだけ、ほんのちょーっとだけ、近寄りたいな
年上で、クールで、大人で。何となく近寄り難い彼。
「はい、これ」
そんな彼から貰ったのは彼らしいご褒美だ。
「イチゴ飴。頭、沢山使っただろ？」
それを自分で口に入れる。舌と唾液でジワジワ溶け出す球体は、ほんのり甘酸っぱかった。
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石鏡巡(プロフ) - 夏月さん» ありがとうございます！ 早速使わせて頂きます！ (2019年12月23日 20時) (
レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
夏月(プロフ) - ページ34についてです。私もそれに悩まされました。ですがこの世界には特殊記号という大変素晴らしいものが存在しています。「 」これの中身をコピーペーストしてみてください。更新楽しみにしています。 (2019年12月23日 19時) (レス) id: fb9808e4bc (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - 氷夜さん» ありがとうございます！ デコピンされたことないので、凄く羨ましいです！ (2019年12月16日 14時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
氷夜 - 初めまして！僕はこの小説を少し前から見てて、今はすっかりファンになりました。僕は長男と今の夢主が好きなので1番です！胸キュンシーンは、2日休んだ次の日先輩に「体調管理はちゃんとしなよ」と言われ優しくデコピンされた時ですね。(一応女だから先輩は男です) (2019年12月16日 14時) (レス) id: ce8ab539ab (このIDを非表示/違反報告)
石鏡巡(プロフ) - 黒猫さん» 一番ですね。了解です。頭ポンポン、羨ましいです！ 自分、母親以外にされた記憶がないので……。あの、もしかしたら体験した胸キュンを作品内で使わせて頂くかも知れませんが、宜しいですか？ (2019年12月9日 7時) (レス) id: 6406f9e060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：石鏡巡 | 作成日時：2019年10月30日 16時
