Episode108 ページ24
くる、と身体の向きを変え、今だ冷戦状態のような雰囲気を醸し出しているこうちゃんと須貝の方を見やる。
いつもなら真っ先にお得意のオーバーリアクションで山本の無事を喜ぶこうちゃんも、笑い飛ばしながら喜ぶだろう須貝も、少し困ったような表情で座ったまま俯いている。お互い、かける言葉も、取るべき行動も分からずにいるのだろか。
察しのいい川上は、無言で福良に何かあったんですか、と訴えかける。
福良も福良とて、この状況に少し辟易していた。なんせ、情報がぐちゃぐちゃすぎる。伊沢、川上、河村に今起こっていることを説明しなければいけないし、またこうちゃんと須貝にもきちんと言わなければいけないことがある。ああ、でもその前に須貝さんの勘違いをとかなければいけなくて…。
えっと、と福良が顎に手を当てて整理していたとき。あのさ、と沈黙を破ったのは須貝の一声だった。
「さっきは、こうちゃん、ごめん。その、ガってやって。ちょっとカッとなった。」
「いえ、その………はい。」
ガっと、とかカッと、とか、現場にいなかった人にはなんだそれだが、こうちゃんに伝わるには十分で。
「…俺さ、よく分かってないんだわ。この前山本と一緒に電車で話した情報が最後で。だから、今までのことよく分かってないのに手を出したのは、早とちり過ぎたし反省もしとる。…でも、今の俺のこうちゃんへの感情は、あんとき山本と話した時のまんまだから。だから、何がどうなってんのか、きちんと教えて欲しい」
さすが久敬の生徒で、この世の喧嘩をしている人々のお手本のような仲直りの手引き。
しっかりとこうちゃんを見て、自分の非を認め、そして言いたいことをきちんと伝える。
こうちゃんも少し吃った後で、はい、と須貝に向き直った。迷惑をかけるような行動を取ってしまった自分が悪いのだ、と、腹を括って座り直すが、口を開く前にちら、と生徒会室の中を見廻す。
「別室、行きますか？」
「？ 別にここでいいんじゃないの」
「いえ、なんか静かだし、ちょっと…」
「いや、皆に一旦共有したいから。ちょっと皆も聞いてほしい。あと俺も聞きたい」
「ええ…公開処刑じゃないですか…」
福良の押しの一声で、よりみんなの視線がこうちゃんに注目した。こうちゃんにとってはたまったもんではなかったが、もう後戻りのできないところまで来てしまっている。
仕方なしに、こうちゃんは話を始めた。
更新さぼってごめんなさい！
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あたま - 初コメ失礼します。1から一気に読んでしまいました！続きがめっちゃ気になります！ (2021年10月12日 5時) (
レス) id: be4260c156 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 里野こちさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！了解です！ (2021年2月5日 12時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
里野こち - 初コメ失礼します。いつも楽しく読ませてもらってます！新しい登場人物なのですが、ymgmさんとhysさんがいいです！できればでいいのでどうかよろしくお願いします！ (2021年2月3日 18時) (レス) id: aa6e439f65 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - なつめさん» ありがとうございます…！！最近、たまってたなつめさんの小説を一気読みしました！至福でした……笑笑 (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - ピカイアさん» ありがとうございます…！手術の先輩(こんなこと言っていいのか…？笑)のお言葉、きちんと受け取らせて頂きます…。体調、自分で感じてるのが100%じゃないですもんね…！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年7月30日 23時
