Episode107 ページ23
「そっ…か、そっか、よかった、お大事にして」
『心配かけちゃってごめんなさい、こうちゃんたちにも伝えて貰えたら助かります』
「うん、本当に、よかった」
電話を握りしめながら大袈裟に表情を変える福良を見て、伊沢が苦笑いしながらママかよ、と呟く。
「ママですよ」
「間違いない」
いつもならすぐに控えめなツッコミがとんでくる福良ママ弄りも、今回に限っては安堵が上回ったようだ。ガヤには文字通り目も耳もくれず、他にどこか具合が悪いところは、ガイドとの関係は本当にないのか、と、質問攻めに忙しない。
山本もそんな福良に笑いながら終始大丈夫、と返していたものの、ふと あ、と言葉を止め少し神妙な喋り口に切り替えた。
『あの、須貝さんとこうちゃん…大丈夫ですか』
大丈夫、と言葉を続けようとして、2人の方をちらりと見やる。明らかに先程までのピリピリ感は収まっているものの、お世辞にも全然大丈夫だよとは言えないような、雰囲気であった。
まあ、なんとかー…と言葉を続けようとするよりも早く、山本はその沈黙の意図を理解する。
『多分、須貝さん、誤解しちゃってるんです。僕からちゃんと話せればよかったんですけど、』
「あー…でも、話せばわかると思うから。仲はちゃんととりもっとくよ」
『ありがとうございます。あとそれと…』
白い粉についてのことなんですけど、と山本が言葉を続けようとするも、その前に福良の過保護が発動する。ちょっと待ってちょっと待って、と食い気味に先を制した福良に、山本は素直に黙った。
「色々気になることとかあると思うけど、とりあえず今日は休んで、明日また体調が平気なら話そう。」
『大丈夫です、本当にもう、』
「駄目、倒れてるんだから、しっかり万全にまでなってもらわないと、こっちだって困る」
『…はい』
説き伏せられて、大人しく引き下がった山本に福良もよし、と返す。じゃあまたね、お大事に。ありがとうございました。最後に短く儀礼のように言葉を交わして、電話を切った福良はゆっくりと息を吐きながら生徒会室を見回した。どうやらやることがまだ沢山とあるようだ。
「福良さん、山本どうだって」
「低血糖だって。ご飯、ちゃんと食べてなかったみたい。もう大分元気そうだった」
うわ、あいつ俺のやったカロリーメイト食わんかったんかい。伊沢はそうぼやいてでもどこか先程よりも纏っている空気は軽いものだった。
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あたま - 初コメ失礼します。1から一気に読んでしまいました！続きがめっちゃ気になります！ (2021年10月12日 5時) (
レス) id: be4260c156 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 里野こちさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！了解です！ (2021年2月5日 12時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
里野こち - 初コメ失礼します。いつも楽しく読ませてもらってます！新しい登場人物なのですが、ymgmさんとhysさんがいいです！できればでいいのでどうかよろしくお願いします！ (2021年2月3日 18時) (レス) id: aa6e439f65 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - なつめさん» ありがとうございます…！！最近、たまってたなつめさんの小説を一気読みしました！至福でした……笑笑 (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - ピカイアさん» ありがとうございます…！手術の先輩(こんなこと言っていいのか…？笑)のお言葉、きちんと受け取らせて頂きます…。体調、自分で感じてるのが100%じゃないですもんね…！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年7月30日 23時
