Episode106 ページ22
「俺、病院行ってこようかな」
忙しなく生徒会室の中を歩き回っていた福良が、当然そうぼそっと言葉をこぼした。流石にそこまでは。という周りの目などお構い無しに、彼の顔は本気だった。
「本気で言ってます？心配なのは分かりますけど、介入のし過ぎも良くないですよ。山本のご両親だっているでしょう」
「それは、分かってるんだけど…」
川上が正論で宥めるにも関わらず、やはり福良はどこか煮え切らない表情で。頭ではわかっているのだが、感情がそれに着いてくるかは別問題だ。
普段いるのと同じメンバー、空間のはずなのに、その空気は気色が悪いほどちぐはぐで。福良は忙しないし、こうちゃんと須貝はどことなくピリついた雰囲気を身にまとっている。
部屋の温度が幾分か低くなったようだ、と川上がため息を吐いたその時。コンコン。という控えめなノックの音の後で、保健室の先生が顔をのぞかせた。
「山本くん、すぐ目が覚めたって。深刻じゃないみたいで、皆にも一報入れときたいって」
先生から受話器を受け取り、福良はそれを耳に押し当てボタンを押した。
「もしもし、山本！？」
『あ、福良さんですか？さっきはすいません、』
「だ、大丈夫なの…？」
受話器の先から聞こえてきたのは、いつも通りの明るい山本の声だった。福良以外のみんなにはその声が届いていないものの、福良の拍子抜けしたような声でなんとなく山本の無事を察する。
『本当に大丈夫なんです、軽い低血糖で、』
「低、血糖」
『昨日の夜から、ご飯食べるの忘れてて、』
本当に一瞬暗転しちゃった位の、全然深刻じゃないやつなんです。今点滴だけ受けさせてもらってて、なんてペラペラ喋る山本に、安堵の籠った声を漏らす。
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あたま - 初コメ失礼します。1から一気に読んでしまいました！続きがめっちゃ気になります！ (2021年10月12日 5時) (
レス) id: be4260c156 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 里野こちさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！了解です！ (2021年2月5日 12時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
里野こち - 初コメ失礼します。いつも楽しく読ませてもらってます！新しい登場人物なのですが、ymgmさんとhysさんがいいです！できればでいいのでどうかよろしくお願いします！ (2021年2月3日 18時) (レス) id: aa6e439f65 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - なつめさん» ありがとうございます…！！最近、たまってたなつめさんの小説を一気読みしました！至福でした……笑笑 (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - ピカイアさん» ありがとうございます…！手術の先輩(こんなこと言っていいのか…？笑)のお言葉、きちんと受け取らせて頂きます…。体調、自分で感じてるのが100%じゃないですもんね…！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年7月30日 23時
