Episode105 ページ21
あまりの出来事に、驚きや制止の言葉すら口から出てこない。何も出来ずに山本がぽかんと口を開けて須貝を見上げていると、ワンテンポ遅れて福良がちょっと！と声を上げた。
「山本に、何しようとしてんだよ」
「え、」
静かに怒りを含んだ声で、須貝は言い放つ。
その顔は、いつもの明るさを嘘みたいに引っ込めた冷たい表情で。
なんのことですか、とこうちゃんは口を開こうとしたものの、その鋭い眼光に気圧されてその思いが音になることは無かった。
こうちゃんの息を飲む音が聞こえて、もうワンテンポ遅く山本は須貝が何か勘違いをしていることを悟る。
おそらく、自分が電車の中であんな風に相談をもちかけてしまったせいだろう。こうちゃんに良からぬ風評被害を与えてしまった。
「違うんですよ、須貝さん！」
そう言って、勢いよく立ち上がったその瞬間だった。
(あれ、)
急に、視界がブラックアウトする。
自分の足で地面に立っている感覚がなくなって、僕の名前を呼ぶ声が、聞こえたような、そんな気がした。
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いきなり前に引っ張られるような感じがしたと思ったら、目の前にあったのは静かに怒りを含んだ須貝さんの顔だった。
山本さんに、何かをしようとしてるのかみたいなことを言われて、訳も分からずパニック状態のまま視線で山本さんにヘルプをだす。
「違うんですよ、須貝さん！」
慌てて立ち上がった山本さんを見て安心したのもつかの間、そのまま彼の体がフラリと傾いて、俺たちの方に倒れ込んできたのだ。
「お、わっ」
山本を咄嗟に受け止めるために、須貝が勢いよくこうちゃんから手を離す。一方離されたこうちゃんは突然の解放にぐらつきはしたものの、須貝の山本！という声に直ぐに意識を立て直した。
「山本！」
あたふたしていた須貝よりも、1番に動揺していたのは福良で。
前の事件があって以来だったため、いの一に山本を保健室に運ぼうと提案した。
「え、山本が、運ばれたって…」
「そう、いきなり倒れて、」
山本がそのまま病院に運ばれて、3人はついて行くことも出来ないのでひとまず生徒会室にいる残りのメンバーに報告をした。流石に狼狽える皆の中でも、特に福良は顕著に不安な表情を表していた。
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あたま - 初コメ失礼します。1から一気に読んでしまいました！続きがめっちゃ気になります！ (2021年10月12日 5時) (
レス) id: be4260c156 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 里野こちさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！了解です！ (2021年2月5日 12時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
里野こち - 初コメ失礼します。いつも楽しく読ませてもらってます！新しい登場人物なのですが、ymgmさんとhysさんがいいです！できればでいいのでどうかよろしくお願いします！ (2021年2月3日 18時) (レス) id: aa6e439f65 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - なつめさん» ありがとうございます…！！最近、たまってたなつめさんの小説を一気読みしました！至福でした……笑笑 (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - ピカイアさん» ありがとうございます…！手術の先輩(こんなこと言っていいのか…？笑)のお言葉、きちんと受け取らせて頂きます…。体調、自分で感じてるのが100%じゃないですもんね…！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年7月30日 23時
