Episode97 ページ12
振り返ると、そこにはこちらに向かって手を振る伊沢の姿があった。
「なに、こんなとこで会うなんて珍しいな」
「そうですね。伊沢さんも購買ですか？」
「いや、俺は行ってきた帰り。ってか、俺もってことは山本今から行こうとしてんの？」
「え、はい」
「まじ？もう売り切れてんじゃない？あの激戦区勝ち残るには、結構前もって待機しとかないと」
ええ、と山本が眉を下げると、まあ、初めてだとそうなるのも無理はないよなぁと伊沢は間食用に買ったカロリーメイトを山本に投げてよこした。
「わ、」
「流石に何も食べないと夏バテするよ」
いつもプロテインばっかり飲んでるくせに、なんていう言葉は飲み込んみ、お言葉に甘えてありがたくその栄養食品をいただく。
あんなにお付の人が沢山いるのだ、家ではきちんとした食事を取っているのだろうか。彼が体調を崩しでもしたら、それこそ大問題になるだろうに。
「…ありがとうございます」
じゃあ、と言ってその場を立ち去ろとすると、またもや伊沢は山本を引き止めた。
「山本さ、昼休み空いてる？」
ちょっと今から付き合えない？という伊沢。これは、お昼を一緒に取りましょうということだろうか。
「あー…すいません、こうちゃん待たせてて」
こうして伊沢と2人で話せる機会はほとんどないので出来れば誘いには乗りたかったが、こうちゃんを待たせている上今日ばかりはそっちを蔑ろにするわけにはいけない。
話は伊沢にまで広がっているのだろうか、こうちゃんの名前があがると伊沢はあー…とどこか納得したような、他が少し考えるような様子を見せてからそれならしょうがないかな、と素直に引き下がった。
「色々、聞いてるんですか。福良さんとかから」
「んー、まあ。うちは報・連・相の精神だから」
報・連・相。重要なようで少し複雑な気持ちも持ちながらそうなんですね、と言うと、表情に出てしまっていたのか伊沢はあんまり気を張りなさんなよと言ってそのままじゃあなと自分の教室に戻っていった。
何分が、経過しただろうか。
一瞬なようで、人と話していると意外と時間が食われていることを山本は知っている。
あまり遅くなって、また面倒くさいことになるのだけはごめんである。
山本も貰ったカロリーメイトをポケットに突っ込んで、そのまま元来た道へと踵を返した。
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あたま - 初コメ失礼します。1から一気に読んでしまいました！続きがめっちゃ気になります！ (2021年10月12日 5時) (
レス) id: be4260c156 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 里野こちさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！了解です！ (2021年2月5日 12時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
里野こち - 初コメ失礼します。いつも楽しく読ませてもらってます！新しい登場人物なのですが、ymgmさんとhysさんがいいです！できればでいいのでどうかよろしくお願いします！ (2021年2月3日 18時) (レス) id: aa6e439f65 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - なつめさん» ありがとうございます…！！最近、たまってたなつめさんの小説を一気読みしました！至福でした……笑笑 (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - ピカイアさん» ありがとうございます…！手術の先輩(こんなこと言っていいのか…？笑)のお言葉、きちんと受け取らせて頂きます…。体調、自分で感じてるのが100%じゃないですもんね…！ (2020年11月11日 0時) (レス) id: 05aa016733 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年7月30日 23時
