Episode65 ページ30
「あ、山本、こっち!」
「福良さん!」
山本が改札を出て辺りを見回す姿を見つけると、わかりやすく少し大きめに手を振る福良。そこにはすでに、山本以外のみんなが揃っていた。
「すいません、待たせちゃいましたか」
「いんや、俺らも集まったばっか」
まだ夏と呼ぶには早い時期なのにも関わらず、半袖のTシャツをパタパタさせながら須貝は答える。
「んじゃ、早速行くか」
全員揃ったことを確認すると、唯一手ぶらである伊沢がみんなを率いて歩き始めた。
…事の発端は、とある放課後のことである。
「皆で勉強するか、俺の家で」
「え!?」
突然そう言い放った伊沢に、まず困惑したのは山本だった。
「そんな、さすがにこんな大人数で押しかけたら迷惑ですって」
山本は現在一人暮らしをしていることもあり、仮に自分の小さな家にこんな大人数をあげるなんて考えただけでもゾッとする。
伊沢を入れて、生徒会メンバーは現在全員で七名。
その全員を招くなんて、元来そんなに大きくないため山本の家を基準で考えても迷惑この上ない話だった。
さらに、無理やり押しかけたところでギューギューだと捗る勉強も捗らない。
そう思って伊沢の突飛な誘いを断ろうと思ったのだが、以外にも話に乗ってきたのは福良だった。
「お、じゃあ今回もお邪魔しますか」
「今回も、?」
「いい洋菓子をたらふく食って帰ろう」
「河村さんまで!」
なんと、二年生の皆にとって伊沢家訪問はもはや定期なのだという。こうちゃんも乗り気なままあれよこれよと話は進んでいき、結局こうして学校のない土曜日に皆で伊沢の家に集まり勉強することになったのだ。
「なんかすいません、本当に…」
「もー、山本いつまで言ってんのよ」
「だって、家の方にも迷惑かけてしまって…」
「ああ、家の方はいないから気にしなくてへーきよ」
みんな何勉強すんの?なんて話しながらも、どんどんと歩いていく。先程伊沢がもうすぐそこ!なんて言ってから、なんだかずっと同じ壁にそって歩いているだけで、全くそれらしい景色が見える気配がない。
いよいよ疲れてきた、なんて山本が思っていると、伊沢ははいお待たせーとその歩みを止めた。
「え?」
ずっと沿って歩いてきた壁に、突如現れた巨大な門。
「ここ、俺ん家の玄関」
「はあ!?」
皆がすんとした顔をしている中、俺だけの叫び声が響いたのだった。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます!やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした!ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます! (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい!ありがとうございます!本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか!!笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね!!コメントありがとうございました…!! (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!山本さんお誕生日回…!たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです!笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます!!最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます!これからもよろしくお願いします…!! (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syuri | 作成日時:2020年5月14日 0時